Subject   : 位相差顕微鏡

カテゴリー  : 学びの館 > 測定・分析 


 位相差顕微鏡
位相差顕微鏡とは、光線の位相差をコントラストに変換して観察できる光学顕微鏡のことである。標本を無染色・非侵襲的に観察することができるため、特に生物細胞を観察する場合や臨床検査に多く用いられる。また、石綿の検出にも使用される。

物質に光線が通過するとき、異なる屈折率をもつ物質を透過した光を比較すると位相差が発生している。また、光線を物質が遮るとき光線は回折する。

屈折率が大きな媒質中を通る光は、屈折率が小さい媒質中を通る光よりもその位相が遅れる。この位相差に関わる回折光を利用する顕微鏡である。コンデンサーと対物レンズにより位相のずれた回折光同士を干渉させ、位相差を明暗に変えて観察する。この方法により、ほとんど透明な生物細胞の内部構造を観察することが可能である。位相差コンデンサーと位相差用対物レンズを利用する。

不透明な物質を顕微鏡で観察する場合は、減光や着色によってコントラストがあらわれるために像を直接観察することが可能である。 しかし、無染色の細胞や微生物を観察する場合には対象がほぼ透明であるためコントラストがほぼ無く、そのままでは観察が不可能である。このため観察法としては染色法が発達したが、染色した細菌や細胞は損傷を受け、場合によっては死滅する。これは、観察しているものを取り出して培養する場合や生態を観察する上で極めて都合が悪い。そのため無染色で観察できる方法が探究された。

オランダのフリッツ・ゼルニケは回折格子の研究を応用し、位相のズレをコントラストとして検出する方法を1932年に完成させた。

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 ⇒ 探針をプローブとする分析技術

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