Subject   : 磁気インピーダンス素子(MIセンサ)

カテゴリー : デバイス > センサ


 磁気インピーダンス素子(MIセンサ)
 磁気インピーダンス素子 (Magneto-Impedance element) は、アモルファス合金ワイヤなどの高透磁率合金磁性体の磁気インピーダンス効果(1993年発見)を基礎に、パルス通電磁気インピーダンス効果をCMOS電子回路で実現した新原理の高感度マイクロ磁気センサ(1997年発明、MIセンサと称する)のことです。

2008年からは、MIセンサは約1ピコステラ(10ナノガウス、地磁気は約0.5ガウス)の分解能に向上し、生体細胞のCaイオンパルス磁界やヒトの心臓磁気、脳磁気、脊髄磁気などが検出されるようになった。

 ● 磁気インピーダンス効果
磁気インピーダンス効果とは、高透磁率合金磁性体の表皮効果により、外部磁界によってインピーダンスが敏感に変化する効果のこと。高透磁率磁性体に高周波電流や鋭いパルス電流を流すと、電流は表面だけに流れる。これが表皮効果 (skin effect) であり、電流が流れる表面層の深さ (skin depth δ) は、δ =√(2ρ /ωμ)(ρ: 電気抵抗率、ω: 通電電流の角周波数、μ: 通電電流に直角方向の最大微分透磁率)で表されるので、外部磁界によってμが変化することによって、インピーダンス(交流電圧と交流電流の比)が外部磁界によって変化する。パルス電流を通電する場合、パルスの立ち上がり時間trはほぼω/2に対応する。

この磁気インピーダンス効果は、零磁歪アモルファスワイヤで特に高感度に現れ、円柱形状のアモルファスワイヤは、磁気的には厚さが外部磁界で変化する薄肉円筒として動作し、その中でスピン磁気モーメントが外部磁界方向に回転して磁気センサヘッドになる。このため、従来の高感度磁気センサであるフラックスゲートセンサでは困難なマイクロ寸法での動作ができる。MIマイクロ磁気センサは2003年から愛知製鋼株式会社によって集積回路チップとして携帯電話用電子コンパスの地磁気検出素子として量産されている。
 ⇒ センサの種類

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