Subject   : プロトン磁力計(核磁気共鳴型センサ)

カテゴリー : デバイス > センサ


 プロトン磁力計(核磁気共鳴型センサ)
 核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)を利用するセンサーもある。NMRとは、外部の静磁界中に置かれた原子核が、固有の周波数の電磁波と共鳴する現象のことである。

 NMRの共鳴周波数が外部の磁界に比例することを利用した核磁気共鳴型センサーの1つにプロトン磁力計がある。プロトン磁力計は、水素原子核内のプロトン(陽子)のスピンの状態(向き)に依存する共鳴周波数を検出する。原子の特性に基づくものであるため、高い精度が得られ、センサーの分解能はppmオーダーに達する。プロトン磁力計のセンサー部は、プロトン(水素イオン)を多く含有した液体(灯油など)や水を入れた非磁性の容器と、その外部に巻かれた励磁用のコイル、検出用のコイルから構成される。励磁用コイルに電流を流して強い磁界を生成すると、プロトンのスピンの方向が同じ向きに整列する。続いて、励磁用の電流を遮断して印加する磁界を消失させる。これにより、プロトンのスピンの方向は時間をかけてランダムになる(緩和される)。この緩和過程で、第2のコイルに微弱な電流が誘起される。この電流の周波数が核磁気共鳴周波数となり、これが外部の磁界の強度に比例する。外部の磁界が地磁気の場合には、共鳴周波数は1.5kHzになる。

 ● オーバーハウザー型磁力計
この方式では、水の励磁に約45MHzの高周波を使用する。この周波数が共鳴周波数となり、計測の対象となる磁界の強度に対応することになる。正確な測定が行え、ドリフトもなく、共鳴現象に軸依存性がないため3軸測定が可能である。ただし、このタイプのセンサーはほかの方式に比較すると価格が高い。また、この方式には特有の欠点がある。というのは、「センサーに使用する水が寒冷地では氷結し、容器が破損する恐れがある」(GMW Associates社社長のBrian Richter氏)のだ。この問題は、例えばセンサーを滑走路に設置し、気温が氷点下になった場合などに起こり得る。

 また、核磁気共鳴型センサーでは、測定の対象とする磁界の強度が容器内で均一であることが必要となる。このことから、DCまたは低周波のAC磁界しか測定できない。
 ⇒ 磁気センサ

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