Subject  : ダイポールモード現象(IOD)

カテゴリー : 地球科学 > 気象


 ダイポールモード現象(IOD)
 ダイポールモード現象(Indian Ocean dipole、略称: IOD)とは、インド洋熱帯域において初夏から晩秋にかけて東部で海水温が低くなり、西部で海水温が高くなる大気海洋現象のことをいう。それに伴って起こる風や気候の変化を含み、エルニーニョ現象と同様に世界の気候に大きな影響を与えることが明らかになった。特にアジアあるいはインドの夏のモンスーンに影響を与えることから、その重要性が次第に認識されつつある。インド洋ダイポールモード現象、インド洋ダイポール、ダイポール現象とも呼ばれる。

なんらかの理由でインド洋で南東貿易風が強まると、東側にあった高温の海水は西側へ移動させられ、また東側では深海からの湧昇や海面から蒸発が盛んになるために海水温が低下する。これが正のダイポールモードである。

一方、インド洋で逆に南東貿易風が弱まると、東から西への海流が滞るため高温の海水が東側に滞留し、西側は海水温が低下する。高温となった東側では対流活動が活発化する。これが負のダイポールモードである。

(正の)ダイポールモード現象が発生すると、インド洋の西側にある東アフリカでは海水温の上昇により蒸発が盛んになり降水量が増加する。逆にインド洋の東側にあるインドネシアでは蒸発が抑えられるので降水量が減少する。両地域の大気の性質は、インド?日本にかけてのモンスーンアジアの気象に多大な影響を持っているため、ダイポールモードによる大気の変化が伝播するとこれらの地域で異常気象を引き起こす。

日本でも1994年、2001年、2006年、2007年、2008年、2010年、2012年、2021年などの猛暑はこの現象によりもたらされたとされている。

また、モンスーン-砂漠機構によって地中海沿岸諸国の猛暑はこの現象と密接な関係があることがわかってきた。この猛暑はこれを抑えるべく北欧からのマエストロ、エテジアンなどと呼ばれる冷涼な風を招き、大気を不安定にして低気圧の発生を促す。こうして形成された大気擾乱はアジアンジェットと呼ばれる渦位の導波管を伝わって日本を含む極東域にたまり、対流圏全域に及ぶ等価順圧な高圧域を形成する。日本付近が猛暑になる場合には「クジラの尾(尻尾)」の高気圧パターンが存在することが経験的にわかっているが、最近の研究からダイポールモード現象によるテレコネクションはこの一因となると考えられている。

<出典:Wikipedia>

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  ⇒ 気象庁が発表する注意報と警報

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