Subject : ニネヴェの王立図書館
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ニネヴェの王立図書館
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ティグリス川上流にあったアッシリア帝国の都。王立図書館が建設された。
現在のイラク北部、ティグリス川の上流域にあったアッシリア帝国の都。前612年にアッシリア帝国が滅亡してから廃墟となり、長い間その位置は判らなかったが、1849年フランスの外交官ボッタが発掘に成功し、大量に出土した楔形文字から、帝国最後の王センナケリブ王の王宮であったことがわかった。遺跡からはアッシュール・バニパル王の建設したという王立図書館のあとと言われるところも見つかった。
アッシリア帝国のアッシュール・バニパル王が、首都ニネヴェに建設したもので、世界最古の図書館とされている。メソポタミアとエジプトを統合し、広く西アジアを支配したアッシリアは、帝国内の産業や経済を掌握するために、王立図書館と言っているが、図書館というより情報センターと言うことであろう。もちろんそれらの情報は、粘土板に楔形文字で書かれているものであった。1894年に発掘さした遺跡がその図書館跡とされており、2万5千枚(あるいは4万枚とも言う)の楔形文字が刻印された粘土板が見つかった。それらはすぐに大英博物館に送られ、アッシュール学の学者たちによって解読作業が行われた。そこから「アッシリア学」といわれる分野が発展している。
アッシリア帝国での公的記録は、楔形文字で記されるアッカド語と、アラム文字(アルファベットに近い)で記されるアラム語で記録された書記は二人一組になり、一人は粘土板をもってアッカド語を記し、もう一人は羊皮紙にアラム語を書いた。
- ● 古アッシリア
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アッシリアは現在のイラク北部、ティグリス川とシリア砂漠に挟まれ、小アジアとメソポタミア南部、イラン高原方面とを結ぶ交通の要地を言う。アッシリア人は前3000年紀の末にアッシリア(アッシュール)地方に都市国家を作り、イラン高原の錫(青銅器の原料)の交易を独占して中継貿易で栄えた(この時期を古アッシリアとも言う)。前15世紀ごろミタンニに服属したが、前12世紀頃に滅亡したヒッタイトから鉄器製造技術を受け継ぎ、また鉄鉱石の産地アルメニアを抑えたため次第に有力となった。
- ● 新アッシリア
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オリエントの分裂時代にも国家を存続させ、前9世紀には鉄製の戦車と騎兵隊を採用して、次第に強大となった。これ以降を新アッシリアともいい、前8世紀の終わりごろ、サルゴン2世、次いでセンナケリブ王のもとでシリア、フェニキア、バビロンをつぎつぎと併合し、イスラエル王国を滅ぼした。さらに前663年、エジプトに侵入してそれを征服した。このアッシリアが、メソポタミアからエジプトにかけてのオリエント世界を最初に統一的に支配した「アッシリア帝国」となった。首都のニネヴェをはじめ、ニップール、コルサバード、アッシュールなど多くの遺跡が発掘され、楔形文字の解読による「アッシリア学」がイギリス、フランスで盛んである。
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