Subject  : H2ブロッカー

カテゴリー: 健康・医療情報 > 


 H2ブロッカー
近年、胃酸の分泌を抑える新しい成分を配合した胃腸薬が街の薬局・薬店で購入できるようになりました。その成分は「H2ブロッカー」といい、これまで医師が処方する医療用医薬品として用いられていましたが、今度初めて市販薬としてスイッチ(転用)することが許可されました。胃酸を分泌する作用を遮断(ブロック)し、分泌を抑制するので胃酸による胃痛・胸やけといった症状の改善に対してよく効きます。

“H”とはヒスタミンのこと。 ヒスタミンとは胃酸の分泌を促進する物質で、これが胃壁の中にあるH2受容体という場所にくっついて胃酸の分泌を促します。H2ブロッカーは、ヒスタミンのかわりにこのH2受容体にはまりこんで胃酸の分泌を抑えるもので、日本語では「H2受容体拮抗剤」といいます。H2ブロッカーがはまりこんでしまうと、胃酸分泌の命令系統が遮断されて、胃酸分泌にストップがかかるという仕組みです。ただ、H2ブロッカーはニコチンに弱いので、せっかく薬を飲んで胃酸を抑えても、煙草を吸うと、2時間ほどで薬は追い出されてしまいますから煙草は控えて下さい。

今までの胃腸薬の多くは胃の中に溜まっている酸を制酸剤で中和するものです。ところが、酸を中和させるだけでは、またすぐに胃酸が分泌されて、胃壁を攻撃します。しかし、H2ブロッカーはヒスタミンによる酸の分泌そのものを止めてしまうので、目的を遂げることができるのです。例えていえば、これまでの胃腸薬は溜まった汚水をきれいにして排出するようなもの、H2ブロッカーは大元の蛇口を止めてしまうようなものなのです。

H2ブロッカー単独のものと、胃酸を中和する働きのある制酸剤を配合したものと二種類の薬が登場しました。ところがいくら効き目が強いといっても、H2ブロッカーが作用するには、服用後、腸で吸収されて血液の中に入り、さらに目的の細胞の所まで行って胃酸分泌ストップの命令がかかるまで待たねばなりません。服用してすぐには効かないのです。普通は効き目が現われるまで30分〜1時間ぐらいかかります。そこで、H2ブロッカーが効きはじめるまでの間(タイムラグ)を、制酸剤の中和作用によってカバーしてくれるのが、制酸剤を配合した薬の利点なのです。H2ブロッカーだけのものも、制酸剤とH2ブロッカーを組み合わせた配合薬も、胃酸の分泌を抑えるということでは効き目にほとんど差はありませんから、より早く効き目感が現われるという点では配合薬の方がよいといえるでしょう。また、配合薬は制酸剤の効果の分だけH2ブロッカーの含有量を医療用に比べ少なめ(医療用の4分の3)にしてあります。

 ⇒ 胸焼け(逆流性食道炎)

[メニューへ戻る]  [HOMEへ戻る]  [前のページに戻る]