Subject  : 膀胱癌

カテゴリー: 健康・医療情報 > がん


 膀胱癌
膀胱癌は大半が移行上皮癌で、腎盂や尿管の上皮細胞癌と同じタイプです。
男性が膀胱癌になる割合は女性の約2.5倍です。単独の危険因子としては喫煙が最大で、新たな症例のうち少なくとも半数で、基礎にある原因の1つとみられています。工業用に使われる化学物質の中にも尿中に濃縮されて癌を引き起こすものがありますが、近年はこうした化学物質にさらされることは少なくなってきています。住血吸虫症という寄生虫感染症や膀胱結石による慢性的な刺激でも、膀胱癌が発生しやすくなります。

 【症状】
尿に血液が混じっていると、たいていはまず膀胱癌が疑われます。定期健康診断で行う尿の顕微鏡検査で赤血球が検出され、尿に血が混じっていることがわかる場合もありますが、肉眼でわかるほど尿が赤くなることもあります。後から現れる症状には、排尿時の痛みと灼熱感、切迫した尿意、頻尿などがあります。膀胱癌の症状は膀胱感染症(膀胱炎)の症状に似ていて、両者が同時に生じることもあります。膀胱炎の治療で症状が消えなければ、膀胱癌が疑われます。尿の特殊顕微鏡検査(細胞診)で、しばしば癌細胞が見つかります。

膀胱造影や静脈性尿路造影(造影剤を静脈に注射してX線撮影を行う検査)で膀胱壁に不規則な変形が見つかれば、癌の可能性があります。超音波検査、CT検査、MRI検査でも膀胱の異常を発見できますが、たいていは別の病気の診察中に偶然見つかります。これらの検査で腫瘍が見つかれば、尿道から膀胱鏡を挿入して膀胱内部を調べ、疑わしい部位から組織片を採取して顕微鏡で調べます(生検)。

 【治療法】
癌が膀胱の内側の粘膜にとどまっている場合や、浸潤があっても粘膜の下にある筋層の表層だけにとどまっている場合には、膀胱鏡で完全に取り除くことができます。しかし、取り除いてもその後しばしば新たに癌が発生し、同じ場所にできることもありますが、多くは膀胱の別の部位に生じます。膀胱鏡で癌を完全に取り除いた後で、化学療法薬またはBCG(体の免疫系を活性化させる物質)を繰り返し膀胱に注入することにより、膀胱の内側の表面に限局された癌については再発を防ぐことができます。この方法は、膀胱鏡で癌を取り除くことができない患者の治療にも役立ちます。
筋層深部まで、あるいは膀胱壁を越えて広がった癌は、膀胱鏡で完全に取り除くことはできません。この場合には、膀胱の全体または一部を取り除く膀胱切除術を行います。癌を根治させる目的で、放射線療法や、放射線療法と化学療法を組み合わせた治療法も併用されます。
膀胱全体を取り除かなければならない場合は、尿を排出する手段が必要です。通常は、腸管で形成された回腸ループという通路を経て、腹壁に設けた開口部(腹部ストーマ)から尿を排出させる方法を取ります。尿は体の外に装着した集尿袋にたまります。
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