Subject  : 上顎がん(じょうがくがん)

カテゴリー: 健康・医療情報 > がん


 上顎がん(じょうがくがん)
鼻にできるがんで、蓄膿症が起きる場所である上顎洞に発生します。症状は、つよい鼻づまり、鼻血、顔面のはれ、など様々です。さらに進行すると骨にまでひろがり、目の下がはれたりします。冊へのくいこみぐあいによっては歯にまでひびく激痛もあります。
鼻腔(びくう)の中は鼻中隔(びちゅうかく)で左右に別れています。左右の鼻腔は外側にある3つのひだでいりくんだトンネル状になっています。その外側に左右4つずつ空洞があり、これを副鼻腔(ふくびくう)といいます。上顎洞(じょうがくどう)は副鼻腔のなかで最大の空洞で鼻腔の外下方に位置し、この上顎洞に発生した悪性腫瘍を上顎がんと呼びます。 副鼻腔炎の減少とともに上顎がんは減ってきています。病理組織学的には扁平上皮がんという種類がほとんどです。

 【症状】
がんが上顎洞内に限局している状態では自覚症状がないことが多いのですが、副鼻腔に炎症が起きた時と同様の症状(鼻閉、膿性、血性の鼻漏など)を呈することもあります。 しかし普通はがんが増大し、上顎洞の骨壁を破壊して周囲の組織を圧迫してはじめて、その進展方向によって様々な症状をきたします。
1.がんが内側に進展した場合
鼻腔を圧迫し、鼻閉、鼻出血、悪臭のある鼻漏、頭痛、涙が出るなどの症状です。
2.がんが上方に進展した場合
眼球周囲にある骨を破壊すると、眼が突出したり、眼球が偏位し、物が二重に見えたりします。
3.がんが下方に進展した場合
歯、上あご、口腔内に浸潤し、はぐきが腫れたり、歯痛、上あごの腫れなどがみられます。
4.がんが前方に浸潤した場合
顔の皮下組織に浸潤し、顔が腫れたり痛みが出たりします。
5.がんが側方に浸潤した場合
頬の骨に浸潤し、頬が腫れたり痛みが出たりします。
6.がんが後方に浸潤した場合
副鼻腔の後方の骨に浸潤し、頭痛、眼球突出、眼の動きの障害、視力障害などがみられます。

 【治療法】
一般的に進行がんには広範囲の外科切除で対処しますが、腫瘍近傍には眼球等の重要臓器があり、むやみに切除を大きくするわけにはいきません。治癒率を下げずに顔面形態や視機能を損なわないような工夫が必要となるのです。そこで上顎がんの治療では手術療法、化学療法、放射線療法のよいところを組み合わせた三者併用療法が広く行なわれています。
腫瘍を含んだ上顎骨を摘出した場合は、欠損部に応じて腹部筋肉皮弁や骨を用いて、整容面を考慮し顔面形態の保存を図ります。 頸部リンパ節に転移が出現した場合は頸部郭清術(周囲組織とともに決められた範囲のリンパ節を一塊として取り除くこと)を施行します。
 ⇒ 鼻の異常と病気

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