Subject  : 睡眠障害と不眠

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 睡眠障害と不眠
不眠には、いくつかのタイプがあります。なかなか寝つけないタイプは入眠障害と呼ばれ、精神的にリラックスできなかったり、考えこんだり、悩み続けたりしているためにすぐに寝つくことができません。
眠り続けることができないタイプは中途覚醒と呼ばれ、若い人より高齢者に多くみられます。このタイプの不眠の人は、寝つきには問題ないのですが、数時間後には目が覚めてしまい、そうすると今度はなかなか寝つけなくなります。中には、休みなしに眠ったり覚めたりを繰り返し、満足な睡眠が取れないこともあります。 早朝覚醒は別のタイプの不眠で、年齢を問わずうつ病のサインであることがあります。

睡眠・覚醒リズム障害は睡眠パターンが分断されると起こります。不適当な時間に眠ってしまい、本来眠るべき時間に眠れなくなります。このような睡眠・覚醒の逆転はしばしば、時差ぼけ(特に東から西へ旅するときに起こる)、シフト制による不規則な夜勤、労働時間の頻繁な変更、アルコールの飲み過ぎなどによるものです。薬の副作用による逆転もあります。この睡眠・覚醒の逆転は、入院中の人にも多く起こります。入院中の患者は夜中に目を覚ますことが多いためです。(脳炎、脳卒中、アルツハイマー病などによって)脳内の生体時計が損傷すると、睡眠のパターンは崩れてしまいます。
「神経症性不眠」は、夢を多くみて眠った気がしないが、別に体はだるく ないし、食欲もあるし、日常生活に何ら支障がないものです。 これは眠れないという事に過度にとらわれている状態で、実際に脳波をとって みると眠っでいます。

不眠症の中で最も多い原因は家庭や職場、学校でのストレスですが、 神経症、うつ病、アルコール依存症、精神分裂病など心の病気は 不眠をもたらします。また体の病気も不眠症の原因となります。頭痛・歯の痛み・関節痛などの痛みを伴う病気をはじめ、糖尿病などの代謝性疾患、バセドウ病などの内分泌疾患、さらには肝臓・腎臓・膀胱の障害や心臓・肺の病気なども不眠を引き起こします。

 【症状】
不眠になると、昼間にイライラや疲労を感じ、集中力が落ちてストレスがたまるようになります。
不眠の診断は、その人の睡眠パターン、薬の使用(アルコールや違法薬物を含む)、心理的ストレスの程度、病歴、身体能力レベルなどに基づいて行います。中には、他の人より短い睡眠時間しか必要ない人もいるので、不眠の診断にはこのような個人差も考慮に入れます。

 【治療】
不眠の治療は、その原因と深刻さによって異なります。不眠が別の病気によるものなら、その病気を治療すれば不眠が改善されることがあります。不眠に悩むほとんどの人は、規則正しい睡眠が取れるようにライフスタイルを変えるだけでよく眠れるようになります。 光療法(適切な時間に明るい光をあてる治療法)を行うと、生体時計を正常な状態にリセットすることができます。この治療は特に、時差ぼけで睡眠・覚醒リズムが逆転している人、なかなか寝つけない人、寝てから目が覚めるのが早すぎる人に効果があります。
睡眠障害が日常生活の妨げとなっていて、健康であるという意識がもてない場合は、睡眠補助薬(催眠薬とも呼ばれます)を1週間以内の期間で間欠的に服用すると役に立つでしょう。ほとんどの睡眠補助薬は処方せんが必要です。処方せんなしに購入できる睡眠補助薬(市販薬)には、抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミンやドキシラミンが含まれています。これらの薬には副作用があり、特に高齢者で起こりやすくなっています。
高齢者が経験する睡眠の変化は、通常は年齢によるものなので睡眠補助薬は必要ありません。夜のトータルな睡眠時間は年齢とともに減少する傾向があるため、夜遅く寝て早く起きたり、昼寝をしないようにするとよく眠れるようになります。たとえ不眠であっても、高齢者の睡眠補助薬による治療は、錯乱、転倒、失禁といった、不眠以上に厄介な問題を引き起こすことがあります。
情緒的ストレスが原因の不眠は、睡眠補助薬の服用よりも、ストレスを緩和する治療の方が有効です。不眠と抑うつがある場合は、医師の診察を受けうつ病の治療を行うべきです。うつ病の治療はしばしば不眠も軽減しますが、一部の抗うつ薬は鎮静作用があるため、直接睡眠を改善します。
メラトニンが不眠の治療に用いられることがあり、特にメラトニンの量が減る高齢者に使用されます。この薬は時差ぼけの症状を最小限にするためにも使われます。しかし、使用については議論があります。メラトニンは、長くて2〜3週間の短期間の使用なら安全だと思われますが、長期に使用した場合の影響はわかっていません。
 ⇒ 睡眠の種類とサイクル

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