Subject  : アカラシア

カテゴリー: 健康・医療情報 


 アカラシア
アカラシア(噴門けいれん、食道無ぜん動、巨大食道ともいいます)とは、食道のリズミカルな収縮が大きく損なわれ、下部食道括約筋も正常に弛緩できなくなる病気です。
アカラシアは、食道のリズミカルな収縮を調節している神経の機能に異常が生じるために起こります。この神経の機能異常の原因はわかっていません。
原因不明の食道の機能異常と考えられている病気です。 食道の蠕動(ぜんどう)運動(前進を伴う収縮運動)が障害され、下部食道括約筋(かつやくきん)(胃に近い部分の食道の筋肉)が十分に開かなくなり、食物の通過障害や食道の拡張がおこります。
粘膜や筋肉に異常はなく、中年で発症することの多い病気です。 下部食道括約筋は、一定の圧力で胃から胃酸を含む内容物が食道に逆流しないようになっています。また、飲み込むときは、唾液を含む食物を食道から胃へ進ませるため一時的に弛緩します。下部食道括約筋のこの運動は、脳からの信号でコントロールされています。この信号に何らかの障害がおきているものと考えられています。

 【症状】
アカラシアはどの年齢層にも起こりますが、20〜60歳の間に症状がないまま 始まることが多く、数カ月から数年かけてゆっくりと進行します。 下部食道括約筋がきつく締まった状態になり、その結果、その上の食道が 大きく拡張します。この拡張により、さまざまな症状が起こります。主な症状は嚥下困難で、液体も固形物も飲みこみにくくなります。そのほか、
(1)胸痛、
(2)拡張した食道にたまった、胃酸を含まない無刺激性の内容物の逆流、
(3)夜間のせき、
などの症状もみられます。比較的まれですが、嚥下時や、あるいは特に理由がなく胸痛が起こることもあります。アカラシアのある人の約3分の1では、未消化の食べものが就寝中に逆流します。そのため、逆流した食べものを誤って肺に吸いこみ、せき、肺膿瘍(はいのうよう)、気道の感染症、気管支拡張症、誤嚥性肺炎を起こすことがあります。

 【診断と治療】
治療では、下部食道括約筋が容易に弛緩できるようにして症状を緩和することが目標になります。亜硝酸塩(食事前に舌下に入れるニトログリセリン錠など)やカルシウム拮抗薬(ニフェジピンなど)を使用して、括約筋の弛緩を助け、食道の拡張を防ぎます。
括約筋を機械的に拡張させる方法もあります。たとえば、大きなバルーンを食道内でふくらませるなどです。この方法はおよそ70%の確率で症状を和らげることができますが、再度拡張が必要になる人もいます。アカラシアがある人の5%未満では、拡張治療中に食道の破裂が起こります。食道が破裂するとその周囲の組織に炎症が起こります(縦隔炎)。これは適切に治療しなければ命にかかわることもあります。緊急手術で食道壁の破裂を閉鎖する必要があります。
機械的に拡張させる方法の代わりに、ボツリヌス菌の毒素を下部食道括約筋に注射する治療法もあります。
 ⇒ 消化器系の病気

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