Subject   : 呼吸器系(肺の構造と役割 )

カテゴリー  : 学びの館 > 生物 


 呼吸器系
呼吸器系は鼻と口から始まり、気道を通って肺へと続きます。 空気は鼻と口から呼吸器系へと入り、のど(咽頭[いんとう])、 のどぼとけを通り、声帯のある喉頭(こうとう)を通過します。
喉頭の入り口は小さなふた(喉頭蓋[こうとうがい])で 覆われており、ものを飲みこむときには自動的に閉じて、 食べものや飲みものが気道に入るのを防ぎます。
一番太い気道は気管で、気道はさらに左右の気管支へと2つに 枝分かれします。
● 気管支と肺胞
気管支は、より細い気道(細気管支)へと、次々と枝分かれします。細気管支は最も細い気道で、直径は0.5ミリメートルしかありません。気道全体は、おおまかにみると木を逆さまにした形に似ています。呼吸器系の中で、気道部分を「気管支の樹」と呼ぶこともあります。また、気道は弾力性に富んだ、線維性の結合組織である軟骨によって筒状に保たれています。気道を取り巻く筒状の筋肉は、伸びたり縮んだりできるので、気道内部の広さが変えられます。
細気管支の先端には、数千もの小さな空気の袋(肺胞)があります。 肺を構成する6億という肺胞の総表面積は、60〜100平方メートルにもなります。肺胞の壁の内部は、細い血管(毛細血管)が密集した網状の組織になっています。空気と毛細血管の間の壁が非常に薄いため、酸素は肺胞内から血液中へ、また二酸化炭素は血液中から肺胞内へと移動できるのです。
● 肺の構造と役割
左右の気管支は、それぞれが左右の肺につながっています。 左の肺は、心臓が左の胸部にあるため、右の肺より少し小さく なっています。 肺はそれぞれ葉と呼ばれる部分に分かれており、右肺は3葉、 左肺は2葉から成り立っています。 右肺は、上葉・中葉・下葉という三つの部分に分かれており、左肺は上葉・ 下葉という二つの部分に分かれています。右肺と左肺は、それぞれが2層の 「胸膜」という大きな袋に包まれています
肺全体と胸壁の内側を覆っている胸膜は、すべすべした膜です。 呼吸しながら私たちが動き回っても、肺はなめらかに動きます。2層の胸膜の 間には、わずかな量ですが、潤滑液があります。そのため、肺が形や大きさを 変えても、2層の膜はそれぞれがなめらかに動くことができます。
肺は胸腔内に位置しており、左右の肺の間には縦隔というスペースがあります。縦隔には心臓、胸腺、リンパ節が含まれます。また同時に、大動脈、大静脈、気管、食道、さまざまな神経系の一部も含まれています。縦隔は、前部を胸骨、背部を脊柱、上部を胸腔への入り口、下部を横隔膜で仕切られた領域です。縦隔は、左右の肺をそれぞれ機能的に独立させる働きをしています。もし胸壁の片側に針で穴を開けた場合、その肺は機能を失い、つぶれてしまいますが、もう片方の肺はふくらんだまま機能を保ちます。これは2つの肺がそれぞれ独立しているためです。
胸部にある肺やその他の器官は、胸骨、肋骨、脊椎(せきつい)からなる骨のケースによって保護されています。12対の肋骨は、背部から胸部を取り囲むようにカーブしており、1対ずつ脊椎の骨(椎骨)とつながっています。体の前部では、肋骨の上部7対は軟骨によって胸骨とつながっています。8〜10番目の肋骨は、それぞれ1つ上方の肋骨の軟骨と連結しており、最も下方の2対(浮動肋骨)は他の肋骨より短く、前面ではつながっていません。
呼吸器系の最も重要な役割は、酸素と二酸化炭素を交換することです。吸いこまれた酸素は肺へ入っていき、肺胞に達します。肺胞表面の細胞とそれを取り巻く毛細血管は、ともにそれぞれ細胞1個分の厚みしかなく、互いに密接しています。壁の厚みは平均約1マイクロメートル(1万分の1センチメートル)なので、酸素はこの空気と血液の間の壁をすばやく通り抜け、毛細血管の血液中へ入ります。同様に、血液中の二酸化炭素は肺胞へ入り、その後呼気として体外へ出されます。
酸素を含んだ血液は肺から肺静脈を通って左心室へ送られ、全身へと押し出されていきます(心臓と血管のしくみと働き: 心臓の機能を参照)。酸素を失い、二酸化炭素を多く含んだ血液は、上大静脈と下大静脈という2本の大静脈を通って右心室へ戻ります。その後、この血液は肺動脈を通って肺へと送られ、肺で酸素を受け取り、二酸化炭素を放出します。

 ⇒ 肺呼吸のしくみ

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