Subject   : 芳香族炭化水素

カテゴリー  : 学びの館 > 化学 


 芳香族炭化水素
ベンゼン環を分子中にもつ化合物です。
芳香とは柔らかな感じの,いいにおいのことですね。したがって,当時知られていた化合物のにおいが芳香だったので,aromatic compounds とよばれることになったのでしょう。しかし,すべてが aromatic だとは限りません。

ベンゼン環にメチル基(CH3-)が一つ付いたものをトルエン、2つついた ものをキシレンといいます。キシレンには、オルト,メタ,パラ異性体が あります。(o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン)

トルエンを混酸を使ってニトロ化すると、o-ニトロトルエン60%,m-ニトロトルエン3%,p-ニトロトルエン37%ができます。 TNT火薬の、TNTとは,トリニトロトルエンtrinitrotolueneの略称ですね。トルエンをニトロ化すると,ニトロ基に置換される場所に規則があるのです。TNTは、2,4,6-トリニトロトルエンです。

■ 置換反応
ベンゼン環は不飽和結合をもつが,非常に安定であり,付加反応よりも置換反応の方が起こりやすいですね。代表的な置換反応は,ハロゲン化,ニトロ化,スルホン化です。
 これらの反応の共通点は,陽イオンがベンゼン環と反応しているということです。例えば,塩素化においては,次の反応によって塩素陽イオンができています。
 2Fe+5Cl2⇔2FeCl3+2Cl2⇔2FeCl4−+2Cl+
 ニトロ化では,硫酸が酸としてはたらき,硝酸が塩基としてはたらいて,ニトロニウムイオンNO2+ができます。
 H2SO4+HO-NO2⇔HSO4−+NO2++H2O
 スルホン化では,硫酸が酸として,また塩基としてはたらき,スルホニウムイオンHSO3+ができます。
 H2SO4+HO-SO3H⇔HSO4−+HSO3++H2O

 ● ハロゲン化(クロロベンゼン)
 C6H5-H + Cl2 → C6H5-Cl + H-Cl (Fe)

2Fe + 5Cl2 ⇔ 2FeCl3 + 2Cl2 ⇔ 2FeCl4− + 2Cl+
C6H5-H + Cl+ → C6H5-Cl + H+


 ● ニトロ化(ニトロベンゼン)
 C6H5-H + HO-NO2 → C6H5-NO2 + H2O (濃H2SO4)

H2SO4 + HO-NO2 ⇔ HSO4− + NO2+ + H2O
C6H5-H + NO2+ → C6H5-NO2 + H+


 ● スルホン化(ベンゼンスルホン酸)
 C6H5-H + HO-SO3H → C6H5-SO3H + H2O(加熱)

H2SO4 + HO-SO3H ⇔ HSO4− + HSO3+ + H2O
C6H5-H + HSO3+ → C6H5-SO3H + H+

■ 置換反応
             Ni
 C6H6 + 3H2 → C6H12(シクロヘキサン)
           高温・高圧

             光
 C6H6 + 3Cl2 → C6H6Cl6(ヘキサクロロシクロヘキサン)
 

 ⇒ 有機化合物の同族列の慣用名

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