Subject   : その他の特殊なレーザー

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 その他の特殊なレーザー
可視光レーザーとは可視光域の光を発振するレーザー発振器のことです。可視光とは人の目に見える領域の光のことを言い、波長380nmから780nmの光のことを言います。

 ○ 紫外線(UV)レーザー
波長380nm未満を紫外線(UV)と呼びます。波長200nm以下を真空紫外(DUV)と呼ぶこともありますがここでは波長400nm未満をすべて紫外線(UV)レーザーとしてまとめています。波長が短いので原理的に非常に高い集光性があり、フォトンエネルギーが高くさまざまな物質に非常に良く吸収されます。nsecオーダー以下のパルス動作のものが多く、微細加工に向きます。

 ○ 近赤外線レーザー ( near infrared laser )
近赤外線レーザーとは近赤外線を発振するレーザー発振器のことを言います。近赤外線とは波長の長い赤外線を遠赤外線というのに対しての呼称で波長780nmから3μmぐらいの赤外線域の光のことを言います。

 ○ SHGレーザ( second harmonic generation laser )
 第2高調波発生レーザ。例えば半導体レーザと光導波路素子を組み合わせて,元の波長の1/2の波長(2倍の周波数)の光に変換して出力する。850nmの赤外半導体レーザを使用すると,425nm程度の青紫色のレーザ光を得られる。 YAGレーザーの場合は1064nmの1/2で532nmとなります。
THG ( third harmonic generation )は、基本波の3倍の周波数(波長の3分の1)で、 YAGレーザーの場合は1064nmの1/3で355nmとなります。
FHG ( fourth harmonic generation )は、基本波の4倍の周波数(波長の4分の1)で YAGレーザーの場合は1064nmの1/4で266nmとなります。CLBOとは非線形光学結晶(CsLi6O10)のことで主に4倍波に変換するために使用されます。

 ○ フェムト秒レーザー
フェムトレーザーとは、時間単位を「フェムト」(千兆分の一)単位で扱い、数フェムト秒から数百フェムト秒の間だけ発光することのできる光レーザーのことである。 フェムトレーザーは短時間にエネルギーを圧縮して発振を行う。そのため、極めて強いレーザー光をきわめて細かい範囲に照射することが可能となる。

発振器単独でフェムト秒出力の得られるチタンサファイアモードロックレーザーの出現以来、チタンサファイアレーザーを中心に急速に進歩し、半導体可飽和吸収鏡を用いたもの、発振器にチタンサファイアの2倍波にあたるErファイバレーザを用いたものなどが登場し、安定性、出力が向上して産業用への応用に期待が高まっています。
フェムトレーザーをガラスに照射すると、ヒビは入らずに、その焦点のあたりで構造が変化し光の屈折率を変えてしまう。このため、半導体工学の分野だけでなく、ダイヤモンドやガラスなどの加工分野に応用することも期待されている。

 ○ 自由電子レーザー ( free electron laser )
自由電子レーザーとは真空中の高速電子を光速近くまで加速し、その電子ビームを曲げるとビームエネルギーの一部が光になるシンクロトロン放射の手法で作られたレーザーのことを言います。

 ○ ファイバーレーザー ( fiber laser )
ファイバーレーザーとは共振器部分にファイバーを用いたレーザーの総称で、YbイオンやErイオンをドープしたシングルモードファイバのクラッドを2重構造にし、内側のクラッドにLDの励起光を流し込むようにして励起することで驚異的な効率で高品質なレーザー出力が得られます。発振波長はYbの場合、1ミクロンから1.1ミクロン、Erの場合1.5ミクロン領域です。Qスイッチやモードロックで短い時間幅のパルスを出力できるものもあります。
高出力ファイバーレーザの希土類元素 (例:Yb, Er, Er:Yb, Tm, Nd等)をドープしたコアはマルチモードLDを用いてダブルクラッドファイバーを通して励起されます。励起光はインナークラッド内に集光し、ファイバーの中を伝搬します。コアにドープされる希土類元素をYbとすると励起光に対するレーザ光の光/光変換効率は〜80%です。
 ⇒ レーザー(LASER)

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