Subject  : 汗と体臭

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 汗と体臭
 体臭の原因になるのは腋臭・口臭・頭髪の臭いなどですが、最大の要素は腋の下の汗が臭う腋臭で、通常「体臭」といったときは主に腋臭を指しています。  腋臭を起こす腋の下の汗は、普通の汗とは違っています。人間の汗には2種類あり、普通の汗は全身の表皮にあるエクリン腺という汗腺から分泌されています。この汗の主成分は水分と塩分などで、主に体温を調節する働きをしています。  これに対して腋の下などの汗のなかには、アポクリン腺という別の汗腺から分泌されたものがあります。この汗腺から分泌されたアポクリン汗は、成分も普通の汗と違い、炭水化物やタンパク質、アンモニアなどがかなり含まれています。そのため、皮膚常在菌などの働きで化学分解されると、特殊な臭気を発します。

 ● アポクリン汗
 多くの哺乳動物はアポクリン腺が全身に分布していますが、人間の場合は退化して、腋の下や乳暈、臍部、陰股部などにだけ残存しています。ちなみに、人間も胎児の時にはアポクリン腺が全身に生じるものの、漸次退化し、大部分が消失してから誕生を迎えるといわれます。  人間のアポクリン腺は思春期頃から発達して機能し始め、老人になると停止します。
女性の場合は、月経のたびにアポクリン腺の機能が活発化するといわれます。
アポクリン腺はエクリン腺より皮膚の深い場所にあり(真皮とその下の皮下脂肪の間に存在する)、排出孔は、毛孔(体毛が生えてくる孔)の中に開口しています。アポクリン腺の数や分泌能力は、人種によってかなり違います。

 アポクリン汗の性状は、半透明状から白い混濁液状まで様々で、人種や個々人によってかなり異なります。アポクリン汗の分泌量が最も多い黒人の場合はクリーム状といわれますが、日本人の場合はほとんど透明状の人が少なくありません。分泌されると、数分以内に毛孔口の辺りで乾燥し、ゲル状になって皮膚に付着します。分泌直後のアポクリン汗には特別な臭いがありませんが、皮膚常在菌などの働きで化学分解されると独特の刺激性の悪臭を放つようになります。

 ● エクリン腺
普通の汗を分泌するエクリン腺は生命維持に欠かせず、一生涯機能します。 暑くなると汗を出し、その汗が蒸発するときに熱を奪っていく「気化熱」の性質によって体温を調節しています。 エクリン腺の場合は、汗の排出孔が表皮に直接開口しており、全身の表皮に300〜400万個あるといわれている。 しかし、そのうち、実際に汗をかいて体温調節に貢献している汗腺(「能動汗腺」と呼ばれる)は、一般的に表面にある汗腺の約半分。そう、実に約半分の150〜200万個の汗腺は、活動を停止しているのが普通なのだ。
小さい頃から冷暖房の効いた室内で生活してきている現代人は、能動汗腺の数が減少傾向にあるというのだ。 能動汗腺が減少すれば当然、暑くても上手く汗をかくことができず、体温調節もスムーズにいかない。

 ● 腋臭の対策
腋臭の対策では、まず入浴やシャワーの回数を増やして腋の下を石鹸でよく洗い、できるだけ清潔に保って脇の下の細菌繁殖を防ぐことが大切です。石鹸は、殺菌剤が入っているデオドラント石鹸がよく使われます。下着もこまめに取り替えなければいけません。また、腋毛も細菌繁殖の好条件となるので、女性の場合は腋毛をできるだけ短く剃るようにするなど、日頃から腋毛のケアを怠らないようにします。  こうした対策を十分に行えば、腋臭があってもかなり軽減できます。それでも気になる場合は、アレルギーがなければ市販の制汗スプレーやパウダーを購入して使用するか、病院で腋臭の外用剤を処方してもらいます。  病院で処方する腋臭の外用剤の多くは20%塩化アルミニウム水溶液で、これを1日に2〜3回腋の下に塗布します。この薬は昔から民間薬としてよく用いられた「焼きミョウバン」の主要成分を化学的に製造したもので、アポクリン汗腺やエクリン汗腺の働きを抑えるだけでなく、殺菌作用もあり、市販の制汗剤にも多用されています。
腋臭の手術療法では、腋の下の皮膚を横に切って、毛包やアポクリン汗腺などの皮下組織を切除してしまう「剪除法」という方法が行われています。
 ⇒ 脱毛について

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