Subject   : 炎症(inflammation)とは

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学 


 炎症とは
あらゆる内外からの刺激に対して生体が示す一連の反応のことをさします。
何らかの原因、例えばけがややけどや風邪をひいたりして、細胞が障害 されたときに、その障害の原因を取り除いたり、細胞障害の結果できた 壊死物を片付ける過程を炎症(inflammation)といいます。
つまり、病気やけがを治そうとする体のはたらきということができます。 炎症では細胞が壊死を起こしたり、血管の壁の性質が変わったり するので、5つの特徴を伴います。
  1. 発熱(calor)・・・局所が熱を持つ
  2. 発赤(rubor)・・・局所が赤くなる
  3. 腫脹(tumor)・・・局所が腫れる
  4. 疼痛(dolor)・・・局所の痛み
  5. 機能障害(function laesa)
炎症の第1相は、ヒスタミン、セロトニンによって起こる弱い反応で、即時型 透過といわれ、 第2相は、遅延型血管透過といわれる、炎症の血管透過の主体をなします。 引き続き、 多核白血球、単球(マクロファージ)、リンパ球などが細い血管から組織間質に 出ていくのです。 そして、これらの血漿成分、細胞成分によって生成される 活性因子系の作用が組織細胞の増殖を促し修復へ導くのです。
基本的には炎症は局所の防衛反応であるが、 組織障害作用も示しますから、 機能障害も炎症の主徴に加えられます。

 急性炎症と慢性炎症
急性炎症とは、 急激に発症し、早期に終息する炎症反応。 慢性炎症とは、 急性炎症の原因物質がうまく処理されずに炎症反応が長びく場合や、炎症が緩やかに発症して長期にわたって炎症反応が持続する状態。      急性炎症と慢性炎症の間に一般的な時間的定義があるわけではないが、肝炎を例にとると、1〜3ヶ月で終息するものを急性肝炎といい、6ヶ月以上に渡って肝機能異常が継続する場合を慢性肝炎という場合が多い。
急性炎症のもつ3つの主要な構成要素、すなわち
(1)血管拡張による血流量の増加
(2)血漿タンパク質や白血球が血管外に出やすくなるような微小血管の構造の変化
(3)白血球の微小血管からの遊走と障害部位への集積
に対応して急性炎症の5主徴とよばれる特徴ある症状が現れます。すなわち(1)により炎症局所の発熱、発赤、が起こり、(2)によりタンパク質に富んだ」細胞外液が増加することにより腫脹が起こります。また、これらに加えて炎症反応の中で走化および貪食の経過中に活性化された白血球が放出した代謝産物やプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)が疼痛、機能障害を引き起こします。

 ⇒ 組織学的変化による炎症の分類

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