Subject   : 微小管(microtubule)

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 微小管(microtubule)
  微小管は、中心体(centrosome)から細胞周辺にネットワークのように延びた細胞骨格分子である。細胞小器官(organella)は、後で述べるモータータンパク質を介してこのマイクロチュービュールと結合し、いろいろな場所へ移動して行く。また、魚類の色素細胞で見られるように、顆粒の運動に関係している。繊毛(cilium)や鞭毛(flagella)の中を貫いていて、その運動に関係する。さらに、細胞分裂のときの紡錘糸(spindle fiber)として、核分裂に関与する。

 微小管は、互いによく似た球状タンパク質であるαチュービュリンとβチュービュリンが交互に会合した中空の繊維がである。断面を見ると一回り13個のチュービュリン分子からなる。すなわち13本の原繊維(protofilament)が寄り添った形になる。

 微小繊維と同じように、会合と解離が両端でおこっていて、その速度が違うので方向性がある。ユリ科植物のイヌサフランの種子、鱗茎から抽出されるアルカロイドであるコルヒチンが、チュー ビュリンの会合を阻害する。

 この薬品で処理すると、紡錘糸の形成が阻害され、そのために 核分裂がおこらない(種なしブドウ)。この会合と解離には、 アクチンの場合のATPとは異なり、GTPが関与する。GTPはβサブユニットに結合して会合しやすくなる。

 微小管にも結合タンパク質が存在する。よく知られているのは、ダイニン(dynein)とキネシン(kinesin)である。どちらもモータータンパク質と呼ばれ、微小管の線路の上を、トロッコのように荷物を積んで動いて行く。両者の違いは走行方向である。ダイニンはマイナスエンドに向かって動き、キネシンはプラスエンドに向かって動く。もちろんこの動きにはATPのエネルギーが必要である。
 ⇒ 細胞骨格

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