Subject   : 幹細胞(stem cell)

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 幹細胞(stem cell)
幹細胞は未分化の細胞です。いい換えれば、さまざまな細胞に成長する可能性をもった細胞です。中には、体内のあらゆる細胞になりうる幹細胞もあります。また、すでに部分的に分化が進んでいる細胞もあります。たとえば、どんな神経細胞にもなれる幹細胞やどんな腺細胞にもなれる幹細胞です。幹細胞は、最終的に特定の細胞になるまで、多数の幹細胞をつくりながら分裂していきます。このように分裂を繰り返しながら特化していき、最後に、これ以上特化できないというところへたどりつき、1種類の細胞になります。幹細胞は血液、神経、筋肉、心臓、腺、皮膚など、200以上も種類のある細胞のすべてをつくり出します。 アルツハイマー病、パーキンソン病、糖尿病、および脊髄損傷などで破壊された細胞や組織を、幹細胞を使って修復したり置換する研究が進んでいます。幹細胞を特化させる遺伝子情報を活性化させて、幹細胞を誘導するのです。幹細胞を得るには4つの方法がありますが、今後さらに別の方法も開発されるでしょう。

 ○ 胚
幹細胞は、不妊症治療時に体外受精で生じた胚から取り出されます。体外受精では、精子と卵子を培養皿に取ります。受精が始まり、細胞が分裂して胚を形成します。最も元気な数個の胚を子宮に戻します。残りは廃棄するか、必要があれば、冷凍して保存しておきます。この使わない胚から幹細胞を取り出します。この過程で胚は破壊されてしまいます。このため、胚から採った幹細胞の使用の是非が論争の的になっています。一方で、この方法で得られる幹細胞は、さまざまな細胞をつくり出すことや、臓器移植後の生存に対して、最も高い潜在能力をもっていると考えられています。
胚性幹細胞(ES細胞)

 ○ 胎児
妊娠8週間後から、胚は胎児と呼ばれます。幹細胞は、流産や堕胎によって死亡した胎児から得られます。

 ○ へその緒
出産後のへその緒や胎盤の血液から幹細胞が得られます。ここで得られる幹細胞は血球だけをつくります。

 ○ 小児と成人
小児でも成人でも、骨髄や血液には、幹細胞が含まれています。これらの幹細胞は血球だけをつくります。現在、移植に使われる幹細胞は、ここから得られるものだけです。
成人からは成体幹細胞、胎児からは胚生殖細胞を取り出すことができます。
 ⇒ 造血幹細胞(免疫細胞)
 ⇒ ES細胞とiPS細胞

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