Subject   : トランスクリプトーム(transcriptome)

カテゴリー  : 学術情報 


 トランスクリプトーム(transcriptome)
 トランスクリプトームとは、特定の細胞生物学的な状況下において1個あるいは増殖した一様の分化状態の生物の細胞中に存在する全てのmRNA(ないしは一次転写産物、 transcripts)の総体を指す呼称である。それ故、ゲノムとトランスクリプトームとは異なり、後者は同一の種であっても組織ごとに(即ち遺伝的多様性と異なる原因により)ある決まった構成になっている。つまりトランスクリプトームはその細胞が発生の過程で受けた細胞外からの影響の積み重ねによって色々と変化する。

 ● トランスクリプトミクス(transcriptomics)
トランスクリプトミクス(transcriptomics)とは遺伝子が発現する階層での生命現象の分子生物学的な描写であり,(例えばDNAマイクロアレイの様に)一度に幾万ものmRNAを識別する能力を持つ技術が使用されて明らかとなる。特に注意すべきは、遺伝子産物であるmRNAの階層の要素と、同じく遺伝子産物である蛋白質の階層の要素と一対一対応するわけではない点にある。完成形である蛋白質から構成される相補的なシステムは、トランスクリプトームと同様な枠組みで理解され、プロテオームという概念で認識されている。トランスクリプトームの研究は生命を司る 物質流転(メタボローム)を探求する上で残された重要な分野である。
 ⇒ オミックス(Omics)

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