Subject   : 旋光(optical rotation)

カテゴリー  : 光学 


 旋光(optical rotation)
 旋光(optical rotation)とは、直線偏光がある物質中を通過した際に回転する現象である。

この性質を示す物質や化合物は旋光性あるいは光学活性を持つ、と言われる。不斉な分子(糖など)の溶液や、偏極面を持つ結晶(水晶)などの固体、偏極したスピンをもつ気体原子・分子で起こる。糖化学ではシロップの濃度を求めるのに、光学では偏光の操作に、化学では溶液中の基質の性質を検討するのに、医学においては糖尿病患者の血中糖濃度を測定するのに用いられる。

一般的に、屈折率は波長に依存する(分散を参照)。光の波長変化に伴う偏光の回転量変化は旋光分散(optical rotatory dispersion、ORD)と呼ばれる。ORD スペクトルと円二色性(CD)スペクトルはクラマース・クローニッヒの関係式によって関連付けられる。片方のスペクトルについて完全な情報が得られれば、もう一方は計算によって求めることができる。

まとめると、旋光度は光の色(ナトリウム D 線の波長 589 nm 付近の黄色い光が一般的な測定に用いられる)、経路長 L、及び物質の性質(比旋光度 Δn 及び濃度)に依存する。

■ 旋光計(polarimeter)
 旋光度を測る際、光源と偏光子、計測対象である物質を容れる試料セルに検光子そして旋光計(polarimeter)が用いられる。波でもある光はあらゆる方向に振動しているのでそのまま旋光計に通してもどのくらい傾いたのか、そもそも旋光が起こったのかどうかもはっきりしない。光を偏光子(フィルター)に当てると特定の面内に振動している光のみが通り、他は遮断される。この光を平面偏光と呼ぶが、光学活性体の入った試料セルに辿り着くと平面偏光はまるで横から力を加えられたように回転する。まるで風に当てられてくるくる回る風車の刃のように回転する平面偏光は試料セルを通過したのち検光子にぶつかる。偏光子を通った後も光はあらゆる方向に分散してしまっているが、検光子を通過する光の強度を測定することで旋光度を測量できる。検光子は実はフィルターであり回転している。分光したといっても偏光子の指定する面と繋がる面の強度が最も強いので、回転しているフィルターを通過した光が最も強度の高かった時の、検光子のどれぐらい傾いていたかを測ることで光がどの程度回転させられたか解明できる。

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