Subject   : ヒッグス粒子(Higgs boson)

カテゴリー  : 学びの館 > 物理 


 ヒッグス粒子(Higgs boson)
 ヒッグス粒子(Higgs boson)とは、1964年にピーター・ヒッグスが提唱したヒッグス機構において要請される素粒子である

質量はどのようなしくみで発生するのか、物理学的に整合性を保って説明できるのか、という、多くの物理学者を悩ませてきた難しい問題に対するひとつの解決案として、1964年にエディンバラ大学のピーター・ウェア・ヒッグスは、自発的対称性の破れの考えに基づいたひとつの理論を提唱した。この理論・仮説は後に「ヒッグス機構」と呼ばれることになる。

ヒッグス機構においては、ヒッグス場と呼ばれるスカラー場が導入され、対応するスカラー粒子も同時に導入される。これをヒッグス粒子と呼ぶ。ヒッグス粒子はスピン0・電荷0 のボース粒子である。

ヒッグス機構を含む理論模型が現実に即しているかどうかを判定する上で、その模型に対応するヒッグス粒子が存在するかどうかの実験的検証が鍵となる。ヒッグス粒子という言葉は、広い意味ではヒッグス機構において現れる粒子のことであるが、特に標準模型(ワインバーグ=サラム理論)のヒッグス粒子を指して使われる場合が多い。標準模型においては、ウィークボソン(W±,Z)はヒッグス機構により質量を獲得しているとされており、クォークやレプトンもヒッグス場との相互作用を通して質量を得ているとされている。

■ ヒッグス機構
 ヒッグス機構では、宇宙の初期の状態においてはすべての素粒子は自由に動きまわることができ、質量を持たなかったが、低温状態となるにつれ、ヒッグス場に自発的対称性の破れが生じ、真空期待値が生じた(真空に相転移が起きた)と考える。これによって、他のほとんどの素粒子がそれに当たって抵抗を受けることになった。これが素粒子の動きにくさ、すなわち質量となる。質量の大きさとは、真空期待値が生じたヒッグス場と物質との相互作用の強さであり、ヒッグス場というプールの中に物質が沈んでいるから質量を獲得できると見なす。光子はヒッグス場からの抵抗を受けないため相転移後の宇宙でも自由に動きまわることができ質量がゼロであると考える。

ヒッグス粒子の存在が意味を持つのは、ビッグバン、真空の相転移から物質の存在までを説明する標準理論の重要な一部を構成するからでもある。もしヒッグス粒子の存在が否定された場合は、標準理論(および宇宙論)は大幅な改訂を迫られることになる。

参考)ウィキペディア


 ⇒ 素粒子

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