Subject   : ICP分析(Inductively Coupled Plasma)

カテゴリー  : 産業・技術 


 ICP分析(Inductively Coupled Plasma)
ICPとはInductively Coupled Plasm (誘導結合プラズマ)を意味し、本来は高周波電磁誘導によって希ガスをプラズマ化して高温状態を実現する技術を言います。高温プラズマ状態では、原子のイオン化現象や原子内電子のエネルギー遷移による発光が生じますから、それを利用して原子種やその濃度を計測することができます。  具体的には、トーチ(放電管)に流すArやHeガスを囲んで誘導コイルを設置し、40〜50MHz、2〜5KW程度の高周波電流を印加してガスをプラズ化し、その中へ試料をネブライザ(neblizer噴霧器)を通して微粒子状にしたものをキャリアガスと一緒に送り込みます。高温 (6000〜10000K)に原子が熱せられると、原子はその電子の一部を失ってイオン化されたり、発光したりします。熱せられた原子中の電子は熱エネルギーを得て上のエネルギー状態へ励起され、10−8秒程度の短い時間で自然放出により元の状態へ戻り、その時レベル差に相当するエネルギーを光として放出します。  IPC技術を利用する分析法には代表例が2つあります。IPC技術によって励起された電子の遷移発光を分析する「IPC−AES(IPC発光分析法)」とIPCでイオン化された原子をエネルギー分析する「IPC−MS(IPC質量分析法)」です。

● IPC−AES IPC−発光分析法(Atomic Emission Spectrometry)
 高周波誘導結合プラズマを利用した発光分析法は溶液試料の分析に適しています。近年、より多くの試料について、より多くの元素を分析したいという要求から、ICP発光分析でも測定の迅速化や高精度が実現され、各署でこの測定法が採用されています。極微量元素から高濃度分析まで、幅広い分析に対応できる点が買われているのです。
ppbレベルの高感度で高精度な分析が可能な点にあります。更に、分析濃度範囲が広く、多元素を分析でき、元素同士の干渉の影響が小さく、安定性、再現性に優れています。
液体試料中の元素の定性/定量分析に適していますが、固体状の検体でも、適当な溶媒に溶かして水溶液にできれば分析可能です。  鉄鋼を始めとする合金、半導体、有機ポリマー、生体物質など、多くの材料に対して利用されています。
 多数の元素を同時に定性・定量するには、マルチチャンネル型、あるいはシーケンシャル型の分光器を用います。  マルチチャンネル型はポリクロメータとよばれる分光系と各元素ごとの検出器がそれぞれの波長の位置に並べられている構造で、波長固定で50元素程度測定可能です。  シーケンシャル型は検出器1個で、回折格子をステッピングモータで回転させ、元素の波長位置を次々移して同時定量を行っています。

● ICP質量分析法
イオン源にICPを採用した質量分析法です。測定試料は高温のプラズマ中に導入されイオン化され、そのイオンは最終的に質量分析部でエネルギー分析されます。  高感度でICP発光分析法と比較しても1〜3桁感度が高く、少量の試料で同時多元素分析が可能で、現在、単にICP分析と言えば、質量分析を指すほど繁用されています。 ICP質量分析では、試料溶液はネブライザで霧状にされた後、スプレーチャンバを介してプラズマ中に導入され、イオン化されます。エネルギー分析の方法は幾つかありますが、イオンレンズを通過して、例えば四重極質量分析計で質量別に分別され、二次電子増倍管で検出されます。

● レーザーアブレーション
強力なレーザーを試料に照射し、その物質を気化・蒸発させる方法である。ICP−MS結合し、固体試料を溶液化することなく元素の分析ができる。
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