Subject   : 気象衛星(meteorological satellite)

カテゴリー  : 産業・技術 


 気象衛星(meteorological satellite)
 科学研究を目的に各種の気象関連諸量を観測する衛星は多いが、狭義の「気象衛星」とはWMOが主導する世界気象監視計画(WWW−World Weather Watch)の一環として定常的な全球観測を行う一連の静止衛星(GMS, GOES, METEOSAT, INSAT.ELEKTRO)とそれを補完するNOAAの極軌道衛星を指す。

気象衛星には、地球表面や大気からの放射量や太陽光の反射量を測定するための放射計が観測センサとして搭載されている。気象衛星に搭載されている放射量観測システムは、その目的からイメージャとサウンダーの2つの名称の機器にわけられる。 イメージャは細かい分解能で雲や海面水温の水平分布を観測することを目的とし、サウンダーは大気の温度や湿度などの鉛直分布を求めることを目的とする。サウンダー観測は、常時観測することよりも観測精度を高くすることが優先されるため極軌道気象衛星に搭載される。アメリカのGOESは、イメージャとサウンダー両方を搭載している唯一の静止気象衛星である。

静止気象衛星には、イメージャとして可視波長帯の観測センサが1個と赤外波長帯の観測センサが1〜4個搭載されている。可視センサは雲を含む地球表面での太陽光の反射量(短波放射量)を、赤外センサは地球からの長波放射量を測定する。赤外センサには波長帯が異なる幾つかのセンサがあり、大気中の水蒸気や雲の放射特性の違いを利用して大気の異なった特徴を観測するために使用される。

極軌道気象衛星には、イメージャとサウンダーの両機器が搭載されている。NOAAの場合、イメージャで5波長帯、3種類のサウンダーで40波長帯を観測している。サウンダーに多数の観測センサが搭載されているのは鉛直分解能を細分化するためで、可視、赤外波長帯のほかに、これらより波長の長いマイクロ波観測センサが使用されている。マイクロ波は雲の透過性が良いため、雲の下の大気や海洋の状態の観測に有用である。

 ○ METEOSAT(METEOrology SATellite )
 世界気象監視計画(WWW)に基づいてESAとEUMETSATが共同で打ち上げる静止気象衛星で、現在6号まで運用されている。5号がシステムの中心衛星で、3号は一時米国のGOESシステムをサポートした。 1997年に打ち上げを予定しているMETEOSAT-7がシリーズ最後の衛星である。  その後はEUMETSATが開発している次世代の静止気象衛星MSG(METEOSAT Second Generation)1号が2000年頃に打ち上げられる。
 ⇒ 人工衛星(Artificial Satellite)

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