Subject   : エナジー・ハーベスティング

カテゴリー  : 産業・技術 > 


 エナジー・ハーベスティング
熱や振動、光、電磁波、人間の動きなどから微弱なエネルギー(電力)を回収して2次電池に蓄え、その電力を信号処理回路や通信回路などの駆動に利用する技術。エナジー・スカベンジング、パワー・ハーベスティングなどとも呼びます。

 具体的な用途としては、広範な領域での環境監視システムやセキュリティ・システム、ビル管理システム、遠隔地の環境監視システムなどが挙げられる。こうした用途で、どのようにしてエナジー・ハーベスティング技術を使うのか。大規模な工場内の温度を監視し、空調機器を最適制御するシステムを例に説明しよう。このシステムを実現するには、工場の至るところに温度センサーを設置する必要がある。しかし、各温度センサーに対して電力ラインや通信ラインを敷設するのは極めて大変だ。乾電池を使えば電力ラインの敷設は省けるが、いずれ乾電池の交換が必要になる。センサーの設置数にもよるが、この労力は決して無視できない。そこで各温度センサーに、信号処理回路と無線通信回路とともにエナジー・ハーベスティング素子を搭載しておく。このようなセンサー・ノードを使えば、電力ラインと通信ラインの敷設は不要な上に、乾電池の交換作業もいらなくなる。比較的安価に所望の制御システムを実現できます。

 エナジーハーベスティングとは、光や熱、振動などの身のまわりにあるエネルギーを電力に変えて利用する技術のことです。受信した電波により音が出る鉱石ラジオや体温で動き続ける腕時計などは、これを利用した代表例といえます。これまでは発電量が少ないため、限られた用途にしか利用できませんでしたが、近年、発電技術の向上と、さまざまな電子部品の消費電力が下がったことから、その応用範囲が広がっています。

 ○ MEMS技術
エネルギー源が振動の場合は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子の出番だ。MEMS素子とは微小な電気機械素子のことだが、広義にはシリコン(Si)・ウエハー上に立体構造や可動構造を作り込む製造プロセスを含む。振動からエネルギーを回収するMEMS素子では、片持ち梁を利用する。片持ち梁とは、梁の一方の端部だけですべての重さを支え、もう一方の端部は自由に動くことができる構造である。
自由に動ける端部の先端には重りを、梁を支えている端部付近には圧電素子を取り付けておく。この状態で振動が加わると、梁が上下に振動する。これによって圧電素子が伸縮し、電力が発生する仕組みである。
 このほか、人間の単純な動きからエネルギーを得ることも可能だ。例えば、人間がスイッチのオン/オフする際の力を圧電素子や電磁誘導素子などを利用してエネルギーに変換する。これを使えば、ビル管理システムにおいて、照明機器のスイッチをオフした際にその情報を無線通信でエアコンに送信し、その部屋の空調を切るといった使い方が可能になる。
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