Subject   : RSウィルス

カテゴリー  : 話題のことば > 


 RS(respiratory syncytial)ウィルス
直径150-300nmでパラミクソ・ウィルス科に属する.仲間にはパラインフルエンザ・ウィルス(風邪・仮性クループ), ムンプス・ウィルス(耳下腺炎)がある.成人でも風邪の原因になりうるが,特に問題なのは細気管支炎である.非常に喘息と紛らわしい症状を呈することがあるが,多くは急速に進行し,より重篤で,気管支拡張薬がほとんど奏効しない.3歳ころまでは,抗体産生がほとんどおこらず,再感染を繰り返すが,徐々に症状は穏やかになっていく.
小児の8割以上が罹患するこのウイルス感染症は、宿主の体質によって重症化の度合いやアレルギーのメカニズムが異なるという特徴を持ち、一般にアトピー素因をもつ患者は重症化しやすい。
RSVは、ほとんどのウイルスが細胞性免疫としてTh1を誘導するのに対し、RSV表面上のG蛋白においてTh2を誘導してウイルス特異的IgE抗体誘導とTh2活性化を引き起こして、 IL-4/IFN-γ比を増加させるといわれる。
実際にウイルス除去はTh1による細胞性免疫が主体となるため、Th2活性化によるTh1/Th2アンバランスはRSウイルスによる喘息様症状の治癒を遅延させる。また、RSV表面上のF蛋白は、TLR4を介してIRF(inter feron regulatory factor)やNF-κBを活性化して、IL-1、IL-6、TNF-αなどのサイトカイン産生(自然免疫)を誘導する。 このTLRの遺伝多型やRSVがIFNのシグナルを特異的に阻害する経路を持っていること、アトピー素因を持つ患者はTh1へ転換しにくいことなども RSVが重症化する要因であるという。
RSウイルスによる感染を放っておくと重症化するばかりかTh2型アレルギーが誘導されて、アレルギー体質へと移行する可能性が高くなるということである。

 ⇒ ウイルス

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