Subject   : アルドステロン(Aldosterone)

カテゴリー  : 話題のことば > 健康維持


 アルドステロン(Aldosterone)
アルドステロンは、最も強力な鉱質コルチコイドで 副腎皮質球状層で合成・分泌される。

アルドステロンは、体内の水・ナトリウムイオン・カリウムイオンのホメオスタシスに関与するミネラルコルチコイドの中で主要なもの。
アルドステロンは尿から血中へのナトリウムイオンの再吸収を増加させ、カリウムイオンの尿中への排泄を促進する。
アルドステロンは血液量、血圧、血中のナトリウムイオン、血中のカリウムイオンの濃度の調節に関与する。

 アルドステロンは、尿細管腔側(刷子縁膜側)のNa+チャネル(ENaC:epithelial sodium channel)を介して、Na+を尿細管細胞に取り込み、基底膜側(血管側)のNa+/K+-ATPase(Na pump)で汲み出すと言う、Na+再吸収の経路を、活性化させる。
 遠位尿細管や集合管の上皮細胞では、基底膜側(血管側)のNa+/K+-ATPaseで、細胞内のNa+を、細胞外(血液中)に汲み出し、尿細管腔側のNa+チャネル(ENaC) から、尿細管腔の原尿中のNa+を、細胞内に流入させる。この際、同時に、K+とH+が、血液中から尿細管腔へ転送される。

■ アルドステロン分泌調節
アルドステロン分泌は多因子によって調節されているが、主要な分泌調節因子として、
(1)レニン-アンギオテンシン系、
(2)血漿K濃度、
(3)ACTH
が重要である。 アルドステロンの分泌は、主にレニン・アンジオテンシン系(RAA系)で産生 されるアンジオテンシンIIにより調節される。
腎血流量によって、変動する。 血中アルドステロン値は、臥位で最も低く、座位では臥位の1.5倍、立位では臥位の2倍に増加する。 「レニン・アンジオテンシン・アルドステロン経路」を刺激するものは、
 ・「脱水」「出血」「ナトリウムイオンの不足」 、
 ・血液量の減少を引き起こす。 減少した血液量は血圧の低下をもたらす。
 ・ 肝臓からアンジオテンシノーゲン(血漿タンパク)が出る 。
などです。

鉱質コルチコイドの標的組織は糖質コルチコイドに比べて少なく、主に腎の遠位尿細管で、そのほかに腸管、汗腺、唾液腺、脳などに限られる。 遠位尿細管におけるNa+とOH‐の再吸収とK+とH+の排泄が主な働きといえる。したがって、アルドステロンの分泌過剰によって細胞外液中のK+の低下、HCO3‐の増加と軽度のNa+の増加がみられ、それに伴う高血圧、低K血症、および代謝性アルカローシスが生じる。逆にアルドステロン分泌低下は低血圧、高K血症、代謝性アシドーシスを生じる。ただ、原発性アルドステロン症や、心、腎機能の正常なヒトにアルドステロンを大量に投与した場合などのアルドステロン過剰状態では、心房性Na利尿ペプチドなどによるエスケープ現象によりあまり高Na血症がみられないことには臨床上注意を要する。高血圧性諸疾患、血清Kの異常、浮腫などの鑑別に最も大切な検査項目といえる。特に原発性アルドステロン症、Bartter症候群、Liddle症候群、副腎における17α、11βをはじめとする水酸化酵素欠損症、選択的低アルドステロン症などの鑑別には欠かすことができない検査である。また、測定による診断意義を高め、アルドステロン分泌異常を副腎原発か二次性かを鑑別するためにも血漿レニン活性を同時に測定することが大切である。

 ・アルドステロンは、血管炎症反応を亢進させる
 ・アルドステロンは、COX-2や、MCP-1(ヒト単球走化活性因子)を発現させる。このアルドステロンの作用は、アルドステロン・ブロッカーで、抑制される。
 ・アルドステロンは、心筋の線維化、左室肥大を引き起こすとされる。アルドステロンは、腎臓のメサンギウム細胞領域のミネラロコルチイコイド受容体(MR)に作用して、メサンギウムの細胞外基質を増加させて、糸球体硬化症など、腎臓の線維化にも影響していると考えられている。
 ・アルドステロンは、主に、副腎皮質球状層で産生されるが、心筋からもアルドステロンが産生される。

 ⇒ ホルモンがつくられる部位と機能

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