Subject   : 量子ドットのフォトルミネッセンス

カテゴリー  : 産業・技術 > 材料技術


 量子ドットのフォトルミネッセンス
量子ドットには、ある波長の可視光を照射すると別の波長の光を放出する「フォトルミネッセンス(PL;photoluminescence)」と呼ばれる現象が起こる。このページでは、量子ドットのフォトルミネッセンスを利用して、ID化された蛍光体にする例があります。

 細胞内のあるターゲットの動きを追うとき用いる蛍光体には、以前からGFP(Green Fluorescent Protein)とよばれるクラゲのタンパク質などが利用されて来た。ところが量子ドットは、GFPなど従来の蛍光体と比べて優れている点がいくつかある。まず、量子ドットのフォトルミネッセンスに関わる特徴をいくつか挙げてみよう。

 1.蛍光色は量子ドットのサイズを変えることで、赤(長波長)から青(短波長)まで比較的自由に選ぶことが出来る。これは量子閉じ込め効果によって、量子ドットのエネルギー状態がそのサイズに依存しているためである。

 2.単色性が強い(スペクトル幅が狭い)。これによって発光色の違う量子ドットをいくつか組み合わせることで、ID化できる。

 3.応答性がよい。つまり吸収した光の量に対して発する光の量の割合を表す「量子収率」が高い。これによって感度のよい蛍光体となる。

 4.光に対して安定である。光による励起によって化学変化を起こし、蛍光の性質を失いにくい。

 アメリカではこのような用途で量子ドットを販売しているベンチャー企業もいくらか現れ始めている。単純に目標物を追跡する蛍光体以外にも、特に分子生物学の分野で様々な利用が期待されている。


 ⇒ ファインセラミックス

[メニューへ戻る]  [HOMEへ戻る]  [前のページに戻る]