Subject   : 適応放散(adaptive radiation)

カテゴリー  : 学びの館 > 地学 


 適応放散(adaptive radiation)
 限られた祖先から多様な種に分化する現象。例えば、オーストラリア大陸では、有袋類が様々なニッチに適応した結果、多様な生物種が存在するようになった。 生物の進化は、一つの種が次第に複数の種に分かれることを繰り返すことで起こったものと考えるのが、現在の進化論の定説である総合説の判断である。したがって、一つの祖先から多様な子孫が出現する、というだけでは、全ての進化に当てはまってしまう。しかし、その分かれ方が、あまりに甚だしく、広範囲にわたる場合に、特にそれを指して適応放散と呼んでいる。 最も代表的な例は、哺乳類の有袋類におけるものである。有袋類は有胎盤類と並行して適応放散を遂げた。ティラコスミルスとスミロドン、フクロモモンガとモモンガ、コアラとナマケモノに代表されるような、非常に形態の似通った分類群が両者には出現した。これは、有胎盤類の多くが進出できなかった大陸では、外の地域で様々な有胎盤類が奪い合ったニッチ(生態的地位)を、有袋類だけで埋めることができたためと考えられる。現生の有袋類の分布はほとんどオーストラリア大陸に限定され、また南アメリカ大陸からも化石記録が報告されている。有胎盤類が進出する以前に両大陸が大陸移動によって孤立し、その後も他の大陸と繋がらずに孤立を続けたため、両大陸では有袋類の支配的な状況が続いたとされている。

<出典:biology>

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 ⇒ 自然淘汰説(natural selection theory)

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