Subject   : 鉱石(ore)

カテゴリー  : その他  


 鉱石(ore)
 人間生活にとって有用で、経済的価値をもち、かつ経済的に回収できる鉱物あるいは鉱物の集合体を鉱石という。

鉱石は、鉱石鉱物と脈石鉱物より構成される。有用元素を含有する鉱物、または鉱物そのものが有用で経済的に採掘の対象となる鉱物を鉱石鉱物とよぶ。一方、有用元素を含有しない鉱物または有用でない鉱物が、脈石鉱物である。脈石鉱物は、鉱化作用の過程で生成されるものがほとんどであるが、鉱体に取り込まれた鉱床母岩も地質学的に脈石とよぶこともある。鉱石のうち、脈石鉱物の含有量が多く、経済的価値の低いものを「ずり」とよぶ。鉱石の価値は、品位(重量%、ppmなど)で表される。品位は通常、金、銀はg/t(トン当りのグラム数)、銅、鉛、亜鉛などは%、タングステンなどはWO3%のような酸化物の形で表される。品位の低い鉱石は「貧鉱」とよばれる。「貧鉱」が採掘の対象になるか「ずり」として堆積(たいせき)場に廃棄されるかの境界は、実際の操業においては「最低可採品位cut-off-grade」を規準に決められる。鉱石の「最低可採品位」は、有用元素・鉱物の価格、採掘・運搬・選鉱・製錬・人件費など、社会的、技術的要因に左右される。また、時代的および地域的(国別)特殊事情などにも大きく依存する。採掘されたままの鉱石を粗鉱、選鉱されて有用元素が濃集し、その含有率が高くなったものを精鉱という。精鉱は製錬されて地金(じがね)となる。

鉱石は、金、銀、銅、鉛、亜鉛、鉄などからなる単体や合金、または硫化鉱物、酸化鉱物の金属鉱物を主要構成鉱物とする集合体に対してのみ用いられる用語ではない。石膏(せっこう)、硫黄(いおう)、重晶石、明礬(みょうばん)石、蛍石(ほたるいし)、長石、滑石、石綿、石灰石、ドロマイト、花崗岩などの非金属鉱物や土石資源用の集合体に対しても鉱石という用語が使用される。鉱石に含まれる有用元素は、硫黄やウランなどの鉱石のように1種類の場合もあるが、通常は金銀鉱石や銅・鉛・亜鉛鉱石のように同時に2種以上であることが多い。

鉱石が採掘される鉱床は、その成因から、マグマ成、熱水成、堆積成、そして変成の四つに大別される。マグマ成鉱床からはクロム、ニッケル、白金族、鉄、チタン、錫(すず)、タングステン、ニオブ、タンタル、ダイヤモンドなどが採掘される。熱水成鉱床からは銅、タングステン、モリブデン、錫、蒼鉛(そうえん)、鉛、亜鉛、鉄、金、銀、水銀、ウラン、マンガン、長石、硫黄、重晶石など多様の元素、鉱物が採掘対象になる。堆積成鉱床からは鉄、銅、マンガン、砂金、砂白金、砂クロム、ウラン、石灰石、ニッケル、コバルトなどの鉱石、そして変成鉱床からは銅、マンガン、黒鉛、石綿、滑石、硫化鉄、珪石(けいせき)などの鉱石が採掘される。

● 脈石(gangue )
鉱床の中に産する鉱物のうち、採掘されても利用されない鉱物をいう。一般には金属鉱床に産する石英、方解石、蛍石(ほたるいし)、石膏(せっこう)などの非金属鉱物をさすことが多いが、黄鉄鉱や硫砒(りゅうひ)鉄鉱などの金属鉱物もしばしば脈石として扱われる。また石英などは一般的には脈石であるが、それらを目的として採掘される場合は鉱石である。このように鉱石となる鉱物と、脈石となる鉱物とは鉱床により異なり、厳密な区別があるわけではない。脈石はそれ自身は無価値であるが、選鉱や製錬方法の選定には脈石の種類や粒度などが関係してくるので、鉱石の価値に影響することがある。また鉱床のタイプごとに特定の脈石を伴いやすいため、鉱床探査の手掛りとして利用されることも多い。
おもな脈石鉱物には石英、方解石、菱(りょう)マンガン鉱、重晶石、ざくろ石、緑泥石、蛍石、黄鉄鉱などがあり、また鉱脈の中に含まれる岩石片も脈石とよばれる。
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