Subject  : 一過性脳虚血発作(TIA)

カテゴリー: 健康・医療情報 


 一過性脳虚血発作(TIA)
脳梗塞には、現在のところ発症した後では、まだ確実な治療法がないため、 脳梗塞の発症の前触れに関心が集まっている。その一つが一過性脳虚血発作(TIA)と呼ばれ、半身まひや失語症など脳梗塞と同じような症状が出現し、数分から24時間以内に回復してしまう症状です。

手足がしびれる、言葉がしゃべりにくくなる、一瞬片目が見えなくなる、、何となく頭が重い、ふらふらする、耳鳴りがするなどという不定愁訴に近いものも、脳血流の循環が悪くなっていることの一つの警告と考えられます。ほかに、立ち上がった時に目の前が暗くなって座り込む、いわゆる立ちくらみも高齢者では脳卒中の警告症状と考えられます。クモ膜下出血の警告症状としては動脈瘤が破れる時のひどい頭痛がある。一般的に脳梗塞は寝ている最中に起こることが多く、脳出血やクモ膜下出血は日中の活動時に起きることが多いという特徴もあります。

ほとんどのTIAは、心臓や動脈の壁にできた血栓と呼ばれる血のかたまりや、アテローム動脈硬化によって生じたアテロームと呼ばれる脂肪の沈着物が、血管の壁からはがれて塞栓と呼ばれる遊離物質となり、血流に乗って移動し脳の動脈で詰まってしまったときに起こります。アテローム動脈硬化は、約5%の人にTIAを再発する原因になります。

 原因の一つは、首の血管にできた動脈硬化である。それが何かの拍子にはがれて、脳まで飛んでいき、小さな血管を一時詰まらせるが、やがて塞栓(はがれて飛んでいくのを塞栓という)が溶けて血流が回復する。詰まっていた間だけ、まひなどが起こり、血流が再開すると症状が消失します。

 もう一つは、脳の血管に動脈硬化があって、何かの拍子に血圧がストンと下がると、血液の流れが悪くなって、同じ症状が出ることがある。血圧がすみやかに元に戻れば、回復する。二つのケースとも、回復したといっても動脈硬化がそのまま残っているわけで、やがて本格的な脳梗塞につながる可能性も否定できない。4、5年で見ると一過性脳虚血発作を起こした人の20〜50%が脳血栓で倒れており、一過性脳虚血発作を、確かではない脳梗塞の前触れと指摘する専門医も多い。

 TIAの治療目的は脳卒中の予防です。第1段階として、できれば主要な危険因子である高血圧、高コレステロール、喫煙、糖尿病などをコントロールします。加えて、アスピリンやジピリダモールなどの抗血小板薬を服用します。また心房細動などの不整脈や心臓弁膜症などがあってより強力な薬が必要な場合は、血液を固まりにくくするヘパリンやワルファリンなどの抗凝固薬が使われます。

 ⇒ 脳梗塞

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