Subject  : 薬物アレルギーと職業アレルギー

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 薬物アレルギーと職業アレルギー
職業性気管支喘息という疾患群がありますが、これは職業に関連して、特定の物質がアレルゲンとなっておこる喘息です。ハウスダストやダニなどに比べて、おこる頻度は低いのですが、実に様々な物質に対してアレルギーがおこることが知られています。食物アレルギーでもある、様々な植物性、動物性の食材(コーヒー、茶、メロン、えび、いわし、その他)、薬剤(ペニシリン、ステビア糖、その他)、金属(クローム、その他)などです。仕事と発症の因果関係に気がつかないと、なかなかアレルゲンがわかりませんが、患者あるいは医師が気がつけば、非常に限定されたアレルゲンを特定することができます。

アスピリン、インドメサシンなどの、解熱鎮痛薬は 非ステロイド性抗炎症剤(Non Steroidal Anti-Inflammatory Drug : NSAID(エヌセードと発音します))と呼ばれ非常によく使用されている薬剤ですが、これが、重篤な喘息をおこすことがありアスピリン喘息と呼ばれています。アレルギーとの関係など原因はよくわかりませんが、喘息の5-10%をしめ、重症になることが多く注意が必要です。薬剤については、湿疹(薬疹)や肝機能障害などもよくみられます。このようにアレルギーの特徴として非常に限定された物質に対して、症状が引き起こされるため、アレルギーが体質としてとらえられる原因でもあり、現在さかんに研究されているオーダーメイド医療が有用な疾患群と考えられます。

重要な事は、過去に処方された薬剤について、なんらかのアレルギーを考えさせるような症状がでたことがあれば記録しておき、必ず医師につたえる必要があります。この点からも自分がどのような薬を飲んでいたか、あるいは飲んでいるのか、なるべく正確に知っておくことが大事です。医師の側も、常に薬剤アレルギーに対して注意をはらい、その兆候があれば即座に治療を停止し、アレルギー症状に対して適切な治療をおこなうことが必要な場合もあります。

重大な事態にいたるアレルギー性疾患にアナフィラキシーがあります。これは蜂などに刺された時や、麻酔薬、造影剤、抗生物質の投与など、全身に毒素や薬剤などの物質がいきわたる場合におこる重篤なアレルギー症状ですが、食物アレルギーでもこのような症状になることがあります。マスト細胞は血管のまわりにもいますので、気管支にアレルゲンがはいってきて喘息がおこる時と同じ事が、体中の血管でおこってしまいますと、血管の透過性が増大して血液の液性成分がしみだし、蕁麻疹などにはじまり、喉頭浮腫(喉頭が膨れて気管をふさぎ窒息する)や、血液量の減少による低血圧性ショックで死亡する可能性があります。また重篤な喘息症状もひきおこされ呼吸不全で死にいたることもあります。治療法としては、アドレナリン投与と輸液により循環不全に対応し、さらに気管支拡張剤の投与により、気道閉塞症状を改善します。急激に発症し死にいたる可能性がある症状ですので、医師の迅速な対応が不可欠です。アナフィラキシーを確実にふせぐ方法はありませんが、薬物が原因のこともありますので、繰り返しになりますが、患者の側では、今まで薬剤や食物などにアレルギーと思われる症状を示したかどうか記録に取っておくこと、医師の側からは、その発症に常に対処できるようにしておくことが不可欠です。
 ⇒ アレルギー

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