Subject  : 日光角化症

カテゴリー: 健康・医療情報 > 


 日光角化症(actinic keratosis)
日光角化症は、メラノーマと基底細胞癌を除く皮膚癌(扁平上皮癌または有棘細胞癌)の前癌病変である。
慢性の紫外線曝露により誘発される皮膚病変であり,日光曝露を受けやすい顔面,耳介,前腕,手背部の皮膚に好発する。急性日光曝露によるいわゆる日焼け(sunburn)とは異なり,年余に渡る慢性的な紫外線曝露でDNA変異が生じ発症する。皮膚癌の前駆病変とはいっても実際に上皮内癌や浸潤癌に発展する例は数パーセントに止まる。太陽紫外光の中でもUV-B領域(280-320nm)の紫外線が表皮細胞のDNA損傷をもたらす。近年,環境問題として世界的な話題となっている成層圏オゾン層の破壊による紫外線量の増加と皮膚癌との関係がますます重要視されてきている。

 【症状】
平坦な角化を伴う皮疹である。通常は大きさ数ミリから最大でも2cm程度の表面がざらざらした斑状病変であり、紅桃色、褐色または肉色を呈する。通常、病変は顔面、耳介周辺、手背部、前腕に生じる。単発病変のこともあるが、複数の病変が同時性または異時性に発生する例もある。軽度の痒みを訴える例もあるが,皮疹以外に自覚症状を来たすことは稀である。ときに鶏冠(とさか)状の角化物が堆積することがあり「皮角」と呼ばれる。病変は自然消退することもあれば同じ部位や別の部位に再発することもある。  前癌病変といっても自然消退する傾向もあり、実際に扁平上皮癌にまで発展する病変はそれほど高頻度ではない。

 【治療】
保存的な治療が優先される。治療は液体窒素によるクライオサージャリー、または5-fluorouracil (5-FU)軟膏による局所治療が一般的である。病変部の外科的切除は整容的な目的、またはボーエン病との鑑別が困難な例が対象となる。新たな治療の試みとして光線力学療法などが試行段階から実践的治療に応用されつつある。
 ⇒ 皮膚疾患

[メニューへ戻る]  [HOMEへ戻る]  [前のページに戻る]