Subject  : 椎骨脳底動脈循環不全(ついこつのうていどうみゃく)

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 椎骨脳底動脈循環不全(Vertebro-basilar insufficiency) 
 椎骨脳底動脈循環不全とは一過性脳虚血発作(transient ischemic attack,略して TIA)の一種であり,この発作の発現には椎骨動脈系血流量の一過性減少が原因と想定される病態を総称している。 椎骨脳底動脈血流不全ともいう。

 【原因】
左右にある椎骨動脈は1本の脳底動脈となって脳幹部や両側の小脳半球に血液を送っています。呼吸などの生命維持や平衡感覚など、人間にとって重要な役割を果たす部位への血液供給を行っている動脈です。椎骨動脈や脳底動脈の狭窄(きょうさく)が原因で脳に十分な血液を送れず、めまいなどが引き起こされるのが椎骨脳底動脈循環不全です。

椎骨動脈に狭窄を起こす主な原因は、高血圧症や糖尿病、高脂血症、あるいは肥満などの生活習慣病による動脈硬化です。また、大動脈炎症候群のほか、外傷などによる動脈解離や加齢なども原因になると考えられています。

 【症状と診断】
 @ めまいの誘因:首を回したり,過伸展したり,体位を変えた時,起こることが多い。
 A 性状:回転性めまい(45%)が最も多く,浮動性めまい(25%),眼前暗黒感(15%)もみられる。
 B 随伴症状:めまいと同時に,視覚障害(霧視60%,動揺視20%,複視30%),意識障害(気が遠くなる40%,短時間の意識消失15%)を訴えるとともに悪心・嘔吐(70%),上肢のしびれ感(50%)などが出現する。

 耳鳴・難聴の随伴は極めて少ない(5%)

その他の脳神経症状:  上肢のしびれ,四肢末端の知覚障害も伴うことがある。


1)首の回転・過伸展により発作性めまい,失神,霧視などが出現し,眼振も出現する。  Adson 徴候:過呼吸し首を回転すると,橈骨動脈の拍動が消失し,上肢のしびれ,鎖骨上窩の血管雑音(bruit)が聴取される。
2)神経耳科学的所見:頸部の回転,過伸展による眼振の誘発,注視眼振,視運動性眼振,追跡眼球運動の障害など中枢性平衡障害の所見を示すことが多い。
3)Doppler 法血流計により安静時に椎骨動脈血流を計測すると,病的な左右差を認め,頸動脈圧迫時に血流の増加率が減少。
4)椎骨動脈写で,頸部の回転・過伸展により走行異常(屈曲 kinking,コイル形成 coiling),狭窄などを示し,血流の遅滞や椎骨動脈起始部の動脈硬化像がみられる。
5)頸椎のX線像で椎体上面・側面の鈎状突起,骨棘などがみられる。
6)時に,内頸動脈の形態異常,循環不全がみられることがある。

CTやMRIなどの画像診断やめまいの検査である眼振(がんしん)検査、あるいは神経学的検査などを行い、検査結果に基づき診断します。

 【治療】
 循環改善薬で血流の流れをよくします。自律神経調整薬や抗不安薬を使うこともあります。

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