Subject  : 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)

カテゴリー: 健康・医療情報 


 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)
 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)は、ウイルス感染やワクチンの接種後に起こる脳や脊髄、視神経の炎症のことです。脱髄(神経線維を覆う髄鞘が破壊されること)という現象が起こることが原因だと考えられています。 脱髄には自分の免疫の異常が関与しているとされています。

自己免疫という現象によって、脳や脊髄、目などの神経を傷つけてしまうことで発症すると考えられています。原因となる病原体として、インフルエンザウイルス、はしかウイルス、風疹ウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、EBウイルス、アデノウイルス、サイトメガロウイルスなどと、マイコプラズマ、カンピロバクター、溶連菌などの病原菌が報告されています。ワクチン接種後のADEMでは、インフルエンザとヒトパピローマウイルスのワクチンの接種後発症が多く、三種混合DPTワクチン、新三種混合MMRワクチン、B型肝炎ウイルスワクチン、日本脳炎ワクチンなどでの報告例もあります。

 【症状・検査】
急性散在性脳脊髄炎が起こると頭痛や吐き気、意識障害、けいれん、麻痺などさまざまな症状が現れます。 重症になると、手足のしびれ、けいれん、歩きにくい、意識がもうろうとする、目が見えにくい、感覚が鈍いといった症状や、行動の異常、話ができなくなるなどの症状が出てくることもあります。ウイルス感染やワクチン接種が原因であった場合は、数日から4週間の間に発症し、急激に症状が出てきます。多くは1度だけの発症で終わりますが、1割程度は3ヵ月以上たってから再発することがあるとされています。 画像検査(頭部CT検査や頭部MRI検査)や髄液検査によって診断が行なわれます。血液検査で白血球の数や、炎症があると上昇するタンパク質の変化を調べるとともに、髄液検査で病気と関連するタンパク質の量の変化を調べ、総合的に診断します。診断に当たっては、症状が似たウイルス性の脳炎や多発性硬化症と見分けることが重要になります。

 【治療】
ステロイド薬を大量に使うステロイドパルス療法や免疫グロブリン大量療法で治療されます。風邪や予防接種の後に頭痛や吐き気、意識障害などが起こった場合には急性散在性脳脊髄炎の可能性があります。内科や神経内科を受診してください。

 ⇒ ウイルス感染後疲労症候群(PVFS)

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