Subject  : イバブラジン

カテゴリー: 健康・医療情報 > 薬学 


 イバブラジン
 心拍数を下げる慢性心不全治療薬です。 イバブラジン塩酸塩(商品名コララン錠2.5mg、同錠5mg、同錠7.5mg)

心不全は「なんらかの心臓機能障害、すなわち、心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果、呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し、それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群」と定義されている。現在、心不全の標準薬物療法として、ACE阻害薬、ARB、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬、β遮断薬、利尿薬などが用いられている。これらの薬剤の単剤あるいは併用により長期的な心不全の悪化を予防し、生命予後を改善することが推奨されている。しかし、心不全を含む心疾患は、日本人の死因別死亡総数で悪性新生物に次ぐ第2位を占めており、特に高齢の心不全患者は予後が不良である。既存の標準治療薬以外に、追加あるいは単独使用が可能な新薬の早期開発・承認が求められている。

イバブラジンは、洞結節にある過分極活性化環状ヌクレオチド依存性(HCN)チャネルを阻害する、新規作用機序の慢性心不全治療薬である。洞結節の自動能形成(ペースメーカー)に寄与する電流は過分極活性化陽イオン電流(If)と呼ばれており、主にHCN4チャネルにより形成される。イバブラジンは、HCN4チャネルを阻害することでIfを抑制し、拡張期脱分極相における活動電位の立ち上がり時間を遅延させる。これにより、心臓の伝導性、収縮性、再分極および血圧に影響することなく、心拍数のみを減少させる。

 ▼ 主な副作用
 

 ⇒ 心臓病(循環器疾患)の薬と働き

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