Subject  : 勝手に手足が動く

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 勝手に手足が動く
 自分の意思に関係なく手足など体の一部が動いてしまうことを不随意運動とよびます。 大脳の深いところにある基底核とよばれる部分の異常が原因であることが多いようです。 筋肉のけいれんには、てんかん発作時に見られるような全身の大きな運動を伴うものから、診察時にやっと気付かれるような微細なもの迄あります。リズムのある細かい震えを「振戦」といいます。 筋肉の細かな動きでも気にしなくていい生理的なものから、重要な病気の初期症状の可能性もありますので、専門医(神経内科)の診察、精査(筋電図・神経伝導速度、MRI等)が必要です。

 ● 線維束性収縮
 筋肉のあちこちが特に部位が一定せず、ピクピクと不規則に反復し、四肢の皮膚表面、舌の粘膜、手指や足先の動きとして気付かれます(気付かれ無い事も多い)。 線維束性収縮といって筋肉にいっている運動神経や脊髄にある大型の運動神経細胞(全角細胞)に障害(変性・炎症等)が起きた時(脱神経)に生じます。 筋萎縮性側索硬化症(ALS)と言う難病(脊髄や脳の運動神経細胞が変性し全身の筋肉が痩せていく病気)に多くみられます。 ただこの病気であれば、通常は筋肉の萎縮や脱力を伴っていますので、線維束性収縮で気付かれるよりは筋力低下や痩せで、病院に来られます。 筋肉の痩せや、筋力低下を伴わないものは良性線維束性収縮の可能性が強く、生理的なものと考えられます。

 ● 強縮性収縮(テタニ−)
 攣縮(スパスム)とは断続的に生じるある程度持続性の筋収縮状態と定義されます。 電解質や内分泌の異常(低カルシウム血症、副甲状腺機能低下症)、ビタミンD欠乏症、アルカロ−シス(血液のPHがアルカリ側に傾く)などで、末梢神経もしくは中枢神経の興奮性が高まり、手首や足首の著明な屈曲と痛みと伴った攣縮を強縮性収縮(テタニ−)と言います。 過呼吸症候群という病気があります。 これは不安や精神的興奮(夫婦喧嘩など)が引き金となり過換気(ハ−ハ−と浅く頻回に呼吸をする)を来たし、血液がアルカロ−シス(酸素が多く二酸化炭素が少ない状態)になると生じます。 通常、安定剤や安静で改善しますが繰り返すことも多い様です(性格が未熟な人で環境に問題のある人に多い様です)。

 ● 有痛性痙攣(クランプ)
 激しい運動の後など、ふくらはぎ等に痛みを伴ったけいれん(こむら返り)を経験された方は多いと思います。 長時間、一定の肢位をとっている場合に出現しやすく、有痛性痙攣(クランプ)といって、痛みを伴う筋肉の異常な筋収縮状態です。筋肉疲労が誘因となった生理的なものは筋のマッサ−ジ、伸張にて改善します。 病的なものとしては、糖原病(筋肉の糖代謝異常)、電解質異常、甲状腺機能低下症などがあげられます。

 ● 筋強直(ミオトニア)
 筋肉の随意収縮の後、弛緩の遅延している状態をミオトニアといいます。 具体的には手を強く握りしめた後、開こうとしてもなかなか開けられない様な症状(把握性筋強直)です。この現象は生理的なものでは生じません。 強直性ジストロフィ−は筋肉の萎縮、脱力(筋ジストロフィ−)と共に、ミオトニアを示す代表的疾患です。

 ● ミオキミ−(筋波動症)
 皮膚や粘膜表面に持続的みられる揺れるような、あるいはうねるような動きです。 一つの筋に限局(たとえば、眼輪筋、手筋)して数時間から数日見られるものは、通常は良性(病的でない)です。 病的なものとしては、多発性硬化症、脳幹腫瘍、顔面神経麻痺、末梢神経や脊髄根の障害、や顔面ミオキミ−(持続性)等で生じる事があります。

 ● 片側顔面攣縮
 一側眼輪筋(眼周囲の筋肉)や口輪筋(口周囲の筋肉)が各々、又は両者間代性の筋収縮です。 通常は目元(まぶた)から始まり、顔面の他の筋、たとえば口元(口角)がピクピクする動きが断続的に繰り返されます。顔面神経(脳神経第Z)への血管の拍動、炎症や瘢痕の刺激、腫瘍による圧迫などで生じます。

 ● 眼瞼攣縮
 両側眼輪筋のピクピクする動き(間代性または強直性)です。 眼瞼粘膜の刺激による反射性のものや、パ−キンソン病、メ−ジュ症候群(中年発症に多く、両側眼瞼攣縮と顔面のジストニ−様不随運動を示す)にみられます。 ジストニ−とは躯幹や四肢近位筋に主に起こる比較的緩徐で力強く、一定のパタ−ンの無い捻るような運動である。

 ● クロ−ヌス(間代)
 緊張した時等、生理的に膝がガクガクする経験があるかと思います。 病的には錐体路徴候といって、運動神経の上位運動ニュ−ロン(大脳の運動野から脊髄の運動神経細胞に至る神経路)の障害で、筋の緊張の亢進(痙縮)した状態です。
 ⇒ 神経系の病気の症状

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