Subject  : 結節性動脈周囲炎(PN)

カテゴリー: 健康・医療情報 > 自己免疫疾患


 結節性動脈周囲炎(PN)
 以前 結節性動脈周囲炎(Periarteritis nodosa : PN)と呼ばれていた病気は、現在では結節性多発動脈炎(Polyarteritis nodosa : PAN)と顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis : MPA)の2疾患に分けられています。前者はさらに全身の血管に炎症が起きる全身型皮膚の血管だけに炎症が起きる皮膚型の2型があります。顕微鏡的多発血管炎は、主に肺と腎の顕微鏡で見るような細い動脈に血管炎が起きます。両疾患の特定疾患認定患者数は平成22年度で7,600人でした。このうち顕微鏡的多発血管炎は約1,400人で欧米に比べて我が国に多い傾向があります。発症年齢は結節性多発動脈炎が40〜60歳に多く、男女比は3:1で男性に多いのに対し、顕微鏡的多発血管炎は50〜60歳以上の高齢者に多く、女性にやや多いと言われています。いずれも原因は不明ですが、結節性多発動脈炎は肝炎ウイルスなどのウイルス感染が引き金となって発症することもあります。顕微鏡的多発血管炎は抗好中球細胞質抗体(ANCA)が高率に検出されることから、自己免疫が関係すると考えられています。この病気を含めてANCAが関係する血管炎(ウェゲナー肉芽腫症、アレルギー性肉芽腫性血管炎)をANCA関連血管炎とまとめて呼びます。

 【症状】
 全身型の結節性多発動脈炎は高熱(38℃以上)、体重減少、筋肉痛、関節痛、四肢の痺れ、皮膚潰瘍、尿蛋白、血尿、腎障害、腹痛、下血、脳出血、脳梗塞、高血圧などさまざまな症状が起こります。皮膚症状は主に下肢に紫斑、血疱、皮下硬結、潰瘍、肢端壊疽、などが生じます。重篤な症状として、腎不全、腸出血、脳出血・脳梗塞があります。皮膚型では主に下肢に紫斑、潰瘍、血疱、皮下硬結などが生じます(図26)。全身型も皮膚型も皮膚症状は類似しているので、区別が困難なことがあります。顕微鏡的多発血管炎は腎臓の糸球体と肺胞の細小血管障害により、腎障害と肺胞出血や間質性肺炎が起きます。皮膚の細小血管炎のため、蕁麻疹様血管炎、ヘノッホ・シェーンライン病に類似する小型の浸潤を触れる紫斑、皮下出血、皮膚潰瘍など多彩な皮膚症状が生じることがあります。

 【治療法】
 全身性の結節性多発動脈炎と顕微鏡的多発血管炎では初期に比較的大量のステロイド薬を使います。症例により同時に免疫抑制剤の内服や点滴をします。いずれも早期に診断し治療を開始すると軽快しますが、2〜3年間は薬を続ける必要があります。皮膚型の多発動脈炎では末梢循環改善薬と症状に応じて少量のステロイド薬を使います。

<出典:難病情報センター>
 ⇒ 膠原病(自己免疫疾患)

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