Subject  : 自己免疫性甲状腺障害

カテゴリー: 健康・医療情報 > 自己免疫疾患


 自己免疫性甲状腺障害
 甲状腺疾患の中で、バセドウ病、慢性甲状腺炎(橋本病)は自己免疫性甲状腺疾患とも呼ばれ、自己(主に甲状腺)に対する抗体の産生が病気の原因だと言われています。 自己に対する抗体が過剰に産生され、様々な病状を呈します。 関節リウマチなどの各種の膠原病がこの自己免疫疾患にあたります。

橋本甲状腺炎は、体が自身の甲状腺の細胞を攻撃すること(自己免疫反応)で発生します。 最初、甲状腺は正常に機能していることもあれば、活動が不十分なこともあり(甲状腺機能低下症)、まれですが活動が過剰になっていること(甲状腺機能亢進症)もあります。 ほとんどの人が最終的に甲状腺機能低下症になります。

橋本病は、バセドウ病と同様に自己免疫の異常による病気です。リンパ球が甲状腺のなかに入り込み、そこで自己免疫性の炎症を起こして甲状腺組織を障害します。この組織破壊が高度になると、甲状腺ホルモンの合成ができなくなり、機能低下におちいります。  リンパ球は直接に、あるいは各種のサイトカインや甲状腺組織に対する抗体によって組織を破壊すると考えられています。この病気も女性に多く、また加齢に伴って増加します。中年以降の女性では数%がかかっているといわれますが、甲状腺機能が低下するまでに至るのはそのうち10%以下で、ほとんどは無症状で経過します。

 ■ 症状
 多くの場合、甲状腺にはさまざまな程度にびまん性の比較的かたい腫れがみられますが、逆に萎縮することもあります。機能が低下すると、バセドウ病とは逆に代謝が低下するので、体重は増加傾向を示します。進行すると寒がりになり、疲れやすく便秘がちになります。気力、積極性が失われ、いつも眠く、居眠りが多くなります。  また声が低くなり、早口で話すのが困難になり、聴力も低下します。顔つきもなんとなく生気がなく、ぼんやりとします。まゆ毛の外側の毛や頭髪もうすくなります。脈拍はおそくなり、体温も低下する傾向を示します。心臓の外側の心嚢(のう)に水がたまって心不全症状を示すことがあります。さらに記憶障害や精神症状があらわれ、高齢者では認知症とまちがわれることがあります。重症になると昏睡(こんすい)に至ることもあります。 

 ■ 診断
 甲状腺ホルモン濃度が低く、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の増加で診断は容易です。橋本病では血液中には甲状腺の成分に対するいくつかの自己抗体が検出されます。甲状腺機能が低下すると、血中のコレステロールや中性脂肪が増加したり、肝酵素の増加を起こしやすく、肝臓病として治療される場合もあります。まれに小児でも橋本病による甲状腺機能低下がみられます。

<出典:難病情報センター>
 ⇒ 膠原病(自己免疫疾患)

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