Subject  : 血球貪食性リンパ組織球症(HLH)

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 血球貪食性リンパ組織球症(HLH)
 血球貪食性リンパ組織球症(HLH)は,乳児および幼児にみられるまれな疾患で,免疫機能障害を引き起こす。 基礎疾患として免疫疾患が認められる患者が多いが,基礎疾患が不明な患者もいる。 症状として,リンパ節腫脹,肝脾腫,発熱,および神経学的異常がみられる場合がある。Hemophagocytic lymphohistiocytosis

組織球が増殖する疾患の総称である。組織球は、抗原提示細胞である樹状細胞と抗原貪食細胞であるマクロファージに大別され、ともに骨髄起源の造血幹細胞に由来する。樹状細胞が増殖する疾患の代表としてLangerhans細胞組織球症(LCH)、マクロファージが増殖する疾患の代表として血球貪食性リンパ組織球症(HLH)がある。その他のまれな組織球症として、樹状細胞性腫瘍と非ランゲルハンス細胞組織球症があり、前者には、濾胞樹状細胞肉腫(Follicular dendritic cell sarcoma:FDCS)、指状嵌入樹状細胞肉腫(Interdigitating dendritic cell sarcoma:IDCS)、ランゲルハンス細胞肉腫(Langerhans cell sarcoma:LCS)が、後者には、若年性黄色肉芽腫(Juvenile xanthogranuloma:JXG)、エルドハイム・チェスター病(Erdheim-Chester disease:ECD)、ロサイ・ドルフマン病(Rosai-Dorfman disease:RDD、別名:塊状リンパ腺症を伴う洞組織球増多症(Sinus histiocytosis with massive lymphadenopathy))が含まれる。

後天性HLHは,感染(例, エプスタイン-バーウイルス, サイトメガロウイルス,またはその他),悪性腫瘍(例, 白血病, リンパ腫),免疫疾患(全身性エリテマトーデス, 関節リウマチ, 結節性多発動脈炎, サルコイドーシス,進行性 全身性強皮症, シェーグレン症候群, 川崎病)に伴って現れることがあり,腎臓または肝臓移植患者に発生することもある。

 ■ 症状、診断
 単一臓器に浸潤するSS型、多臓器に浸潤するMS型に分類され、浸潤臓器により症状は多彩である。SS型の80%以上は骨病変であるが、皮膚、リンパ節病変の場合もある。MS型は、骨と皮膚病変が多く、次いで造血器、リンパ節、肝、脾、軟部組織、肺、胸腺、下垂体などあらゆる臓器に発生する。骨痛(溶骨病変)、腫瘤触知、皮疹、発熱、リンパ節腫脹、耳漏、肝脾腫、呼吸困難、尿崩症など様々な症状を呈する。 HLH:持続する発熱、皮疹、肝脾腫、リンパ節腫張、出血症状、けいれん、呼吸障害、肝障害、腎障害、下痢、浮腫など、高サイトカイン血症に伴う多彩な症状を呈する。 まれな組織球症:樹状細胞性腫瘍のうちFDCSとIDCSはリンパ節腫脹が種症状であるが、LCSはその他に骨、皮膚、肝、脾、肺、骨髄など種々の臓器に浸潤し、浸潤臓器により症状は多彩。JXGは多発性結節性丘疹の他、皮下や頭蓋内・肝/脾・肺・眼/眼窩・骨などに腫瘤を形成する。ECDは両側対称性の硬化性の長管骨病変、体重減少や発熱を主症状とし、半数以上の例に後腹膜線維症に伴う尿管狭窄、黄色腫、小脳失調、尿崩症、肺線維症などがみられる。RDDは無痛性の両側性頸部リンパ節腫脹が主症状で、膨隆疹や溶骨性病変、発熱、体重減少、自己免疫疾患がみられる。

<出典:小児慢性特定疾病情報センター 他>
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