Subject  : 高血圧性緊急症

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 高血圧性緊急症
 高血圧緊急症とは、血圧が異常に高くなることによって特定の臓器に障害が生じた状態です。悪性高血圧と呼称される場合もあります。
心臓が全身に血液を送り出すためには、ある程度の圧力が必要になります。血圧は、心臓が血液を送り出すポンプの力、心拍数、血管中にある血液の量、そして全身の血管の抵抗の程度によって決定されます。高血圧緊急症とは、全身の血管の抵抗が急上昇することで生じます。
高血圧緊急症による障害が出やすいのは、脳、腎臓、心臓、血管などの臓器のため、脳卒中・高血圧脳症、急性腎不全、急性心筋梗塞や大動脈瘤や大動脈解離などを発症するきっかけとなることもあります。

高血圧緊急症の原因の多くは、全身の血管の抵抗の急な上昇です。
血管抵抗性が上昇する理由としては、何らかのストレスなどによる交感神経の活性化、急激な寒さ、痛みや苦しい状態、起床して間もないとき、トイレでいきんだときのほか、頭蓋内圧(脳を収める頭蓋骨のなかの圧力)が高くなったことが発症のきっかけとなることもあります。

 ■ 症状
 高血圧緊急症を起こすと頭痛を自覚したり、頭が脈を打つように感じたりする方が多いです。高血圧緊急症では、急激な血圧の上昇によって血管や心臓に大きな負担がかかるため、もともと心臓が弱っていれば心不全の状態に、また肺の呼吸機能が悪化すると肺水腫に進展することがあります。心不全や肺水腫を起こすと、息苦しさやだるさ、起座呼吸(上体を起こしていると呼吸が楽になる)、全身の寒気や疲労感などが現れます。
動脈硬化が進行して血管の弾性力が減少して血管壁が傷んでいると、壁のなかに血液が流れ込んで壁自体を引き裂く急性大動脈解離や大動脈瘤破裂などを招くことがあります。急性大動脈解離や大動脈瘤破裂をおこすと、裂けた血管周辺に激しい痛み、吐き気やおう吐などの症状が出現するようになります。血管が裂けた部分が脳に近かった場合、脳への血流が減少するため意識レベルが低下して昏睡状態となります。
脳の血管に異常が生じると、血管が破れた脳出血や、脳全体がむくむ脳浮腫になることもあります。脳出血や脳浮腫を起こすと意識障害、四肢(もしくは半身)の麻痺やしびれ、ろれつが回りにくいなどの症状が現れます。
さらに、腎臓に負担がかかって腎不全を起こすと尿の量が減少するほか、全身がむくんで足や目のまわりに強いむくみが生じ、やがて全身のかゆみや意識障害などが現れる尿毒症に進展することもあります。

 ■ 治療法
 高血圧緊急症の治療は、状態に応じて血圧や全身の管理を行います。ただ血圧が高くなっただけで明らかな臓器障害が起きていないときには、一般的には降圧薬で血圧を下げる必要はないとされています。危険な状態に対しては酸素投与や人工呼吸を行いながら、降圧薬や循環補助薬などを使用して入院管理を行います。
急性心不全に対しては循環補助薬や利尿薬を使って血圧を保ちつつ心臓の負荷を減らし、急性大動脈解離や大動脈瘤破裂の恐れに対しては降圧薬と心拍数を抑える薬により血管が裂けたり破裂したりするのを阻止します。

<出典:>
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