Subject  : 横紋筋融解症

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 横紋筋融解症
 横紋筋融解症とは、筋肉(特に骨格筋と呼ばれる、自分の意志で動かすことができる筋肉)が壊され壊死えしを起こすことから発症する病気です。筋肉が壊れるきっかけとしては数多くの原因が知られており、代表的なものにけがや熱中症、薬などが挙げられます。

けがや長時間のてんかん発作などは筋肉に強い負荷をかけ、結果として筋肉の細胞が物理的に壊れてしまうことになります。たとえば、けがをすると筋肉の一部の圧力が高くなることによってその部分の筋肉の細胞が死んでしまうコンパートメント症候群になってしまうことがあります。そして、横紋筋融解症になってしまうことがあります。また、熱中症では体の中心部の温度が40℃を超えると筋細胞が壊れてしまい、横紋筋融解症を発症することがあります。
薬では、スタチンやフィブラート系といったコレステロールや脂肪が高いときに処方されるものが横紋筋融解症を引き起こすことが知られています。
そのほか、抗菌薬(ニューキノロン系)、抗精神病薬・抗パーキンソン病薬(ハロペリドールなど)、抗てんかん薬(バルプロ酸など)、麻酔薬(スキサメトニウムなどの筋弛緩剤や揮発性の吸入薬)など数多くの薬が横紋筋融解症の原因となります。新型コロナワクチンでも発生する可能性が高いです。
それ以外の原因としては、感染症(EBウイルスやインフルエンザウイルス、肺炎球菌や黄色ブドウ球菌)、遺伝など数多くのものを原因として挙げることができます

 ■ 症状
 横紋筋融解症は手足に生じることが多く、筋肉が破壊されていることから筋肉に関連した症状が生じます。具体的な症状としては、手足の筋肉痛やしびれ、こわばり、筋力の低下などです。また、筋肉内の物質が体外に放出されることに関連した症状も出現します。 たとえば、ミオグロビン(赤い色)が大量に放出されると、尿にミオグロビンが出ていきます。そのため、横紋筋融解症の患者さんの尿はコーラ色と表現されるような赤く褐色の尿になります。このような腎臓への負担が持続すると、最終的には腎不全へと症状が進行し、血液が酸性に傾いてしまう(代謝性アシドーシス)や高カリウム血症、命に関わる不整脈が現れることが懸念されます。

 ■ 検査・診断
 横紋筋融解症では、血液検査にて筋肉内の物質が血液に放出されていることを確認します。筋肉が破壊されていることの指標として、CPKやAST、LDH、アルドラーゼ、ミオグロビンなどの物質を測定します。ミオグロビンの測定については、血液検査だけでなく尿検査も併用してその存在を確認します。また、横紋筋融解症ではカリウム、リン、カルシウム、尿酸、乳酸といった物質の血液中での上昇も認めます。

そのほか、内蔵に障害が出ていないか調べることも必要です。特に重要なのは腎臓と心臓の評価で、腎臓は血液検査のクレアチニンの値や尿検査の結果、心臓は心電図の結果を用いて障害が現れていないかどうか確認します。また、腎不全が進行すると代謝性アシドーシスと呼ばれる状態を引き起こすこともありますので、血液を用いた血液ガス検査で血液のpHを測定することもされます。

 ■ 治療
 横紋筋融解症の治療は、まず横紋筋融解症の原因を避けることが大切です。これは、特に薬が原因となっている場合においてとても重要です。筋肉痛や筋肉のだるさなどを自覚する場合には、早期に医療機関を受診しましょう。そして、横紋筋融解症の原因となっている薬があれば、服用を中止することになります。
また、横紋筋融解症では重症度によってさまざまな症状が現れるため、症状を抑える治療も必要です。まずは腎臓の機能を保護するために水分摂取をすることが必要です。程度が強い場合には点滴を行うこともあります。なお、尿が酸性に傾くと腎機能障害がより強くなる危険性があるため、重曹などを用いることがあります。
横紋筋融解症が進行すると、腎不全を引き起こします。腎不全になるとカリウムなどの電解質(ミネラル)が異常に高くなったり、代謝性アシドーシスが生じたり、肺に水がたまってしまったりして、よりいっそう生命の危機が高まります。したがって、重症な横紋筋融解症においては血液透析といった治療方法が選択されることがあります。
さらに電解質異常に伴い、不整脈を生じることがあります。特に高カリウム血症は危険性の高い電解質異常であり、カルシウムの注射、尿が出るようにする利尿剤、ブドウ糖とインスリンの注射、カリウムを吸着するイオン交換樹脂などさまざまな治療薬を用います。これらによって、高カリウム血症からの不整脈を予防するようにします。

<出典:メディカルノート>
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