Subject  : 心タンポナーデ(cardiac tamponade)

カテゴリー: 健康・医療情報 > 


 心タンポナーデ(cardiac tamponade)
 心臓と、心臓を覆っている心外膜の間には心(しん)のう液という液体が存在します。心のう液は心臓の拡張や収縮のための潤滑油になったり、外部からの衝撃を和らげるクッションのような役割を担っています。心タンポナーデは心のう液がいろいろな原因で大量に貯留し、心臓の動きを抑制する状態です。
原因
1 特発性:原因不明
2 感染性:ウイルス性、結核性、細菌性、真菌性による急性・慢性の心膜炎
3 非感染性:急性大動脈解離、急性心筋梗塞、悪性腫瘍の心膜浸潤、尿毒症、膠原病、薬剤性等
4 外傷性:交通事故等による胸部打撲

貯留する心のう液は炎症性の場合は淡黄色の浸出液ですが、大動脈解離、悪性腫瘍・結核性の場合は血性の場合もあります。

 【症状】
 自覚症状としては胸部圧迫感、呼吸困難、起座呼吸(呼吸を楽にするため、上半身を起こした姿勢でする呼吸)等があります。心のう液の貯留によって心のう腔内圧が上昇し、心拍出量(心臓から運び出される血液量)の低下を認め血圧低下・頻脈(心拍数が増加している状態)となることで、ショック状態に陥ることもあります。 心筋梗塞での心破裂、解離性大動脈解離の心のう腔への穿破、外傷性の場合は少量でも重篤化し、状態によっては緊急開胸術が必要です。

 【診断・治療】
 血圧低下、静脈圧上昇、頻脈等がある場合は、胸部レントゲンでの心拡大、心電図での低電位、心エコー/胸部CTで心のう液貯留を確認します。 治療では、補液、強心剤の投与、必要に応じてエコーガイド下で心膜穿刺(しんまくせんし:心臓の膜に針を刺して液を出すこと)によって、液を排出します。 穿刺困難な場合は、外科的に剣状突起下アプローチによる排液も行ないます。慢性の心のう液貯留に対しては心膜切開(開窓術)を行なうこともあります。 大動脈解離、心筋梗塞の心破裂等の場合はそれぞれの原因の外科的治療も必要です。

<出典:済生会>
 ⇒ 心臓に関連する病気

[メニューへ戻る]  [カテゴリー一覧]  [HOMEへ戻る]  [前のページに戻る]