Subject  : アジソン病(指定難病83)

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 アジソン病(Addison's disease)
 副腎皮質は3層の構造よりなり、球状層からはミネラルコルチコイドであるアルドステロンが、束状層からグルココルチコイドであるコルチゾールが、網状層から副腎アンドロゲンであるデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)とその硫酸塩であるデヒドロエピアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)が分泌されています。慢性副腎皮質機能低下症は、これらのステロイドホルモン分泌が生体の必要量以下に慢性的に低下した状態であり、副腎皮質自体の病変による 原発性 と、下垂体の副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌不全による続発性に大別されます。原発性の慢性副腎不全は1855年英国の内科医であるThomas Addisonにより初めて報告された疾患であることから、Addison病とも呼ばれています。この原発性慢性副腎皮質機能低下症の病因には 先天性 のものと後天性のものが存在しますが、アジソン病は後天性の成因による病態を指します。

 【原因】
 アジソン病の病因は、感染症あるいはその他の原因及び特発性に分類されます。感染症では結核性が代表的ですが、真菌性や後天性免疫不全症候群(AIDS)に合併するものが増えています。特発性アジソン病は自己免疫性副腎皮質炎による副腎皮質低下症ですが、しばしば他の自己免疫性内分泌異常を合併し、多腺性自己免疫症候群と呼ばれています。アジソン病に特発性副甲状腺機能低下症、皮膚カンジダ症を合併するT型(HAM症候群)と、アジソン病に橋本病などの自己免疫性甲状腺疾患を合併するU型(Schmidt症候群)があります。特発性アジソン病では抗副腎抗体陽性のことが多く(60〜70%)、ステロイド合成 酵素 のP450c21,P450c17などが 標的自己抗原 とされています。その他、癌の副腎転移、代謝異常などによる副腎の 変性 ・萎縮を起こす副腎白質ジストロフィー、Wolman病などがあります。

 【症状】
 副腎皮質ホルモンの欠落により、易疲労感、 全身倦怠感 、脱力感、筋力低下、体重減少、低血圧などがみられます。食欲不振、 悪心 ・嘔吐、下痢などの消化器症状、精神症状(無気力、不安、うつ)など様々な症状が出てきますが、いずれも 非特異的 な症状です。色素沈着は皮膚、肘や膝などの関節部、爪床、口腔内にみられます。

不足するステロイドホルモンを補充します。急性副腎不全の発症時には、グルココルチコイドの速やかな補充と、水分・塩分・糖分の補給が必要であり、治療が遅れれば生命にかかわります。この病気では生涯にわたりグルココルチコイドと必要に応じてミネラルコルチコイドの補充が必要です。新生児期・乳児期には食塩の補充も必要となります。

<出典:難病情報センター>
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