Subject  : ペリー症候群(指定難病126)

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 ペリー症候群(指定難病126)
 ペリー(Perry)症候群は非常にまれな常染色体優性遺伝性の神経変性疾患である。本疾患は1975年にPerryらにより家族性のうつ症状及びパーキンソニズムを伴う常染色体優性遺伝性疾患として報告され、現在まで欧米諸国や本邦から同様の家系が報告されている。臨床症状としては平均48歳発症と若年で発症し、比較的急速に進行するパーキンソニズムと体重減少に加えて、うつ症状、アパシー、脱抑制、引きこもりといった精神症状を認める。また、特徴的な症状として中枢性の低換気がある。治療法としてはパーキンソニズムに対してL-ドパ製剤などのパーキンソン病治療薬や抗うつ薬、低換気に対して人工呼吸器による呼吸管理など対症療法しかなく、根治療法はない。

 【原因】
 原因遺伝子として、2009年にFarrerらによってdynactinタンパクをコードするDCTN1のexon 2に変異があることが突き止められており、この遺伝子異常により本疾患が発症する事が明らかになっている。しかし、なぜdynactinの異常で本疾患が発症するかは不明な点が多い。

 【症状】
 ペリー(Perry)症候群は非常にまれであるが、世界的に広い地域から報告されている。なかでも本邦からは6家系と比較的多い。また、そのうち5家系は九州地方からの報告である。九州地方の家系はいずれも創始者効果は認められておらず、独立して発症した家系である。どの家系もおおむね40代から50代前半にパーキンソニズム又はうつ症状や無気力などの精神症状で発症する。パーキンソニズムに対してはL-ドパ製剤が有効であることも多く、L-ドパ誘発性ジスキネジアやウェアリングオフの合併をみとめる症例も報告されている。抗精神病薬に対する副作用も強く、孤発性パーキンソン病と区別することが時に困難なこともある。しかし、発症早期より体重減少がみられ、さらには呼吸障害が出現する。この呼吸障害は中枢性の低換気であり、頻呼吸、睡眠中の不規則呼吸、呼吸停止などが出現する。呼吸障害に対する治療薬はなく、持続陽圧呼吸療法による効果も一時的であり人工呼吸器による長期サポートが必要である。

 【治療法】
 運動症状については症例によって初期はL-ドパによる対症療法が有効である。しかし、有効性を認めない症例もあり、効果があっても症状の進行が早く一時的で不十分である。呼吸障害に対しては人工呼吸器による長期サポートが必要であり気管切開が必要となる。根治療法は現在のところ報告されていない。

<出典:難病情報センター>
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