Subject  : ラスムッセン脳炎(指定難病151)

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 ラスムッセン脳炎(指定難病151)
 慢性進行性の疾患である。健常者に何らかの先行感染症やワクチン接種があった後に、あるいは先行感染なく限局性に細胞傷害性T細胞を主役とした自己免疫性炎症が起こり、通常はてんかん発作で発病する。てんかん発作が難治に経過し、次第に片麻痺・知的障害などが出現し、半球性の萎縮がMRIで明らかとなる。発病年齢は平均9.0(±10.3)歳だが、成人でも発病しうる。

 【原因】
 細胞傷害性T細胞を主役とした自己免疫性炎症が推測されている。皮質形成異常を合併する症例もある。

 【症状】
 てんかん発作は焦点性発作であり、約半数の症例にみられる持続性部分てんかん(Epilepsia partialis continua:EPC)が特徴で、I指やII指に持続性のミオクローヌスとしてみられることが多いが、顔面や舌にみられることもある。てんかん発作頻度は徐々に増加し、群発するようになるが、数年の経過で後遺症期になると、減少する。
脳波では、初期に限局性の徐波が出現、徐々に一側広汎性に広がる。
MRIでは初期にはFLAIRなどで高信号病変が見られることがあり、その後葉脈状の皮質の萎縮が出現してくることがある。更に経過すると半球性の萎縮となる。
髄液検査では、初期には細胞増多がみられることがあるが、すぐに消退する。髄液中の細胞傷害性T細胞の分泌するgranzyme Bの定量が診断に重要で、GluN2Bに対する抗体も参考となる。これらの免疫因子の測定は静岡てんかん・神経医療センターで行っている。

 【治療法】
 抗てんかん薬、免疫修飾治療(メチルプレドニゾロンパルス、ガンマグロブリン(IVIg)、タクロリムス、血漿交換など)、てんかん外科治療(機能的半球切除術)、リハビリテーションなどが集学的に行われる。言語優位半球障害例では機能的半球切除術(半球離断術)は幼児例を除いて行えない場合が多く、免疫修飾治療と抗てんかん薬治療が主体となる。言語非優位側障害例では、運動麻痺が出現するまでは機能的半球切除術は行えない場合が多く、免疫修飾治療と抗てんかん薬治療が主体となる。

<出典:難病情報センター>
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