Subject  : レット症候群(指定難病156)

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 レット症候群(指定難病156)
 乳幼児期に症状が現れる発達障害で、ほとんど女児におこります。症状や病気の程度には大きな幅があります。病気の約8割以上を占める典型的な患者さんでは、生後6か月くらいまでは一見正常に見えますが、それ以降に、体が柔らかい、四つ這いや歩行などの運動の遅れ、外界への反応が乏しい、視線が合いにくいなどの自閉症状が出ることが多いです。多くは1歳6か月から3歳までに、今まで使っていた手の運動が上手にできなくなり、手を合わせる手もみ、手絞り様、一方の手で胸を叩くような動作などの、特有な手の常同運動が出現します。この時期に四つ這い、歩行などの運動機能もできにくくなり、それまで出ていた言葉が出なくなったりする退行現象が認められます。また、必ず出る症状ではないですが、頻度の高い症状として、けいれん、呼吸の異常、頭囲の発育の伸びが鈍くなるなどの症状が現れます。診断は上に述べたような、発達の特有な病歴、診察所見でおこないます。

 【原因】
 典型例の患者さんの約95%はMECP2遺伝子が主な原因遺伝子である事がわかりました。その他にも、30個くらいの遺伝子の変異が報告されています。その他、非典型例で、早期からけいれんがあり発達が遅れている方たちの原因遺伝子としてリン酸化 酵素 をコードしているCDKL5遺伝子 変異 (CDKL5)をコードしているFOXG1遺伝子変異などが見つかっています。

 【症状】
 重度の知的障害、言葉の遅れ、自閉症状、てんかん発作、後天的な小頭症、歩行時の異常、フラツキ、体が硬くなり、捻じるような動作、夜間に覚醒して騒ぐ、睡眠障害、歯ぎしり、過呼吸―無呼吸を交互に繰り返す呼吸障害、および小さく冷たい手足、頑固な便秘などの自律神経症状、脊柱の側彎などがおこります。

 【治療法】
 根本的な治療法はまだ開発されていません。モデル動物では、骨髄移植、遺伝子治療がされて、一定の効果が報告されていますが、ヒトでの応用は難しいと考えられています。現在、インスリン様成長因子(IGF-1)の皮下注射、その他の新規の治療薬開発が世界で開始されています。現時点では、症状による対症療法がおこなわれています。運動に対して理学療法、作業療法、言語に対する言語療法、けいれんに対して抗けいれん薬の調整、側弯に対するコルセット使用、整形外科的治療、歯科治療、その他、水泳、音楽療法などが試みられています。

<出典:難病情報センター>
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