Subject  : 好中球性紅斑

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 好中球性紅斑
 浮腫性の紅斑を基盤とし,丘疹状から隆起性局面,結節状,腫瘤状,時に中央が陥凹し環状を示す皮疹を経験することがある.罹患部位は顔面,前腕,頸部,躯幹,下肢の順で,自覚症状はないか,軽度の圧痛,時に疼痛がある.しばしば再発性である.組織所見の特徴は核破壊を伴う好中球浸潤を主とする滲出性炎症像で,増殖性変化は滲出性のそれに比べて強くない.炎症は真皮から一部皮下脂肪に波及するが附属器は正常である.真皮皮下脂肪境界部の小血管は侵されるが壊死性血管炎の像はない.皮疹はコルチコイド内服によく反応する.また皮疹が多発し,発熱,白血球増多等の全身反応を伴う症例もあり,これら重症例では膿疱,結節性紅斑様皮疹を合併することもある.
好中球性皮膚症(Neutrophilic dermatoses)は、通常の多形核白血球の無菌性浸潤を特徴とする炎症性皮膚疾患で、主な臨床型は、持久性隆起性紅斑[EED]、Sweet症候群(急性熱性ND)、壊疽性膿皮症、角層下膿疱症、およびそれらの非定型または過渡的形態。これらの疾患の間の臨床オーバーラップは「好中球性皮膚症」の概念につながった。
NDの組織学的検査では、感染の証拠はなく、好中球で構成される強烈な炎症性浸潤を明確にした皮膚病変を特徴とする。

 【原因】
 疾患の病態生理はまだ解明されていない。多形核好中球及びリンパ球の不適切な活性化が疑われている。
現在のところ仮説としては、血管壁の分子への付着に関し、特に、炎症促進性サイトカイン、ケモカイン、およびMMPs16タンパク質の早期または過剰な発現で、これは、多形核好中球の血管外遊走の増加をもたらす。[ Rev Med Interne. 2005 Jan;26(1):41-53.]

 【症状・診断】
 症候として、好中球全身性疾患の概念のもと、好中球を伴い皮膚外の様々な臓器への浸潤の可能性がある。浸潤は肺、骨、関節、消化管、肝臓、脾臓、膵臓、中枢神経系、心臓、および血管を含む多くの臓器で観察され得る。
・持久性隆起性紅斑(EED)は指節間関節、肘、足首、膝の伸筋表面上の茶色がかった赤色、対称的に発生する病変を特徴とする。体幹はスペアされ主に四肢の分布が特徴的。
・EEDの組織学的所見は、皮膚病理学的過程は白血球破砕性血管炎で始まり、表皮壊死に続発して水疱形成を伴うことがある。最終的には線維症および組織球やマクロファージによる浸潤を伴う結節。
・EEDでは、皮膚外病変として、関節痛、硬化性糸球体腎炎、などがありその関連疾患としてIgA免疫グロブリン血症、B型肝炎、連鎖球菌感染症、HIV、真性多血症、骨髄異形成症候群、有毛細胞白血病、混合性クリオグロブリン血症、などがある。

 【治療法】
 EEDは、ほぼ常にファーストライン治療としてダプソン(100 mg /日)に応答する。アシトレチンまたは光線療法(紫外線Aによる光化学)は二次治療として施行できる。

<出典:静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ>
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