Subject   : 抗原と抗体

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学 


 抗原
抗原は、抗体を作る原因物質です。抗体は抗原に依って出来る物質です。
抗原(antigen )は、免疫応答(抗体産生)や免疫寛容を誘導し(免疫原性)、 または抗体と結合する活性を示す物質の総称です。
抗体と結合する活性のみの不完全抗原(ハプテン)があります。 化学組成から 蛋白質、糖質、脂質、核酸、単純化学物質に分けられます。 分子量4000以上のタンパクの大部分と一部の糖質が完全抗原ですが、 他は不完全抗原でタンパクと結合して完全抗原complete antigen となる。 多くのタンパクは 胸腺依存性抗原thymus dependent antigen として働きます。
生物性状によっても、
1) 微生物、異種動物血清タンパクなどの異種xenogeneic 抗原、          
2) 血液型抗原、組織適合抗原(主要組織適合性複合体(MHC))などの同種allogenic 抗原、
3) 自己のサイログロブリンなどの自己autochthonous ないしsyngeneic抗原、Forssman抗原
などの異好性heterophile抗原が区別されます。
抗原の活性は、 化学、物理、生物性状に強く影響されます。
抗原の免疫原性は、 動物への投与経路、免疫アジュバントの有無によっても変わり、 時に免疫応答を、時に免疫寛容を誘導します。 抗原は抗体と直接結合する決定基(抗原決定基)部分と、 それ以外のキャリアー(担体)部分からなります。 マクロファージによる抗原処理で作られる キャリアーの断片(ペプチド)は、 抗原提示細胞antigen presenting cell の自己Ia 抗原と共に ヘルパーT細胞のレセプターに見られます。 自己Ia 抗原は、ヘルパーT細胞の抗原認識に不可欠で、T 細胞は 自己のIa 抗原と外来抗原を認識した時のみ異物と認め活性化します。
 抗体
抗原(antigen)とは,抗体(antibody)と反応する異物として定義され ます。
抗体は特異性をもち,対応する抗原以外のものを攻撃することは ほとんどありません。
抗体は、B細胞またはB細胞の成熟型である 形質細胞によって産生され、 免疫グロブリンと呼ばれます。

抗体の基本構造は、二本のH鎖と二本のL鎖から、成っています。 Hはheavy(重い)、Lはlight(軽い)、つまり長くて重い二本の鎖と、短くて軽い二本の鎖がYの字のような形を成しているのです。 「鎖」と表現されるのは、「アミノ酸」と呼ばれる分子がたくさん連なっているからです。一般にタンパク質というのは、二十種類あるアミノ酸がいろいろな組み合わせで数十から数百連なってできているのです。H鎖とL鎖で構成される先端の部分は、それぞれの抗体でアミノ酸の配列が異なっているので「可変部」また「V(variable)領域」と呼ばれ、ここで抗原を認識して結合します。抗体の多様性は、とりもなおさずこの可変部の多様性によって実現されています。可変部以外の部分は「定常部」または「C(constant)領域」と呼ばれ、炎症を起こすとか、他の細胞に結合するとか、アレルギーを起こすなどといったさまざまな特徴(生物学的活性)を規定しています。

B細胞は常に抗体遺伝子を組み替え,無数の抗原に対応できる抗体を 準備しています。 抗体には役割分担の異なるIgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類のクラスが存在する. IgG抗体は1mlの血液中に13mgも存在し,細菌やウィルス感染細胞に対し働くにに対し.IgE抗体は1ml中に0.01mg以下しか存在しないがマスト細胞と共同し,アレルギー反応をおこす.


 ⇒ 免疫のメカニズム

[メニューへ戻る]  [カテゴリー一覧]  [HOMEへ戻る]  [用語索引]  [前のページに戻る]