Subject   : 上皮組織の形態学的分類

カテゴリー  : 学術情報 > 組織学


 上皮組織の形態学的分類
単層上皮、多列上皮、重層上皮に分類される。

● 単層上皮
単層上皮は、1層の細胞が配列してできる。以下の3つに分類される。

分類 メモ
単層扁平上皮
simple squamous ep.
扁平な細胞が1層に並ぶ上皮で、中皮や血管内皮などに見られる。
単層立方上皮
simple columnar ep.
ほぼ立方形で多面体の細胞が1層に並ぶ上皮で、腎の尿細管の
一部 などに見られる。 。
単層円柱上皮
simple squamous ep.
円柱状の丈の高い細胞が1層に並ぶ上皮で、胃・腸の粘膜上皮
などに見られる。


● 多列上皮 (pseudostratified epithelium)
単層円柱上皮の亜系で、基底膜の上に配列する細胞は1層であるが、丈の高いもの(表面に達する)と低いもの(表面に達しない)があり、核の高さが一致しないため、ぱっと見では2-3層に見えるもの。線毛のあるもの(多列円柱線毛上皮:呼吸器系の気道粘膜など)とないもの(多列円柱上皮:精巣、精巣上体管など

● 重層上皮、重層扁平上皮(stratified squamous ep.)
重層上皮は、数層の細胞が重なってできている。3つに分類される。 重層扁平上皮(stratified flattened epithelium):
最表層の細胞が扁平な形をしている重層上皮。実際には表層の 細胞が扁平であるのに対し、深層に向かうにつれて立方状、そ して最下層の細胞は円柱形をなすのが一般的である。表層に角 化物(細胞の死骸)のある「角化重層扁平上皮」と、角化物が なく、最表層の細胞まで核がみられる(生きている)「非角化 重層扁平上皮」に大別される。 表皮、食道、膣などの上皮。

重層円柱上皮(stratified columnar epithelium):
最表層の細胞が円柱状をしている重層上皮。実際には、深層の 細胞は立方状であることが多い。分布は限られていて、尿道や気 道粘膜の一部など、重層扁平上皮と他の上皮との移行部にある ことが多い。

移行上皮 (transitional epithelium):
機能に応じて最表層の細胞(大型で、被蓋細胞と呼ばれる)の 形が変形(扁平 <-> 円柱)する泌尿器系に特有の上皮。腎杯、 腎盤(腎盂)、尿管、膀胱と、尿道の一部に存在。内腔に尿が 充満している時は細胞が(実際は最表層だけでなく深層も)扁 平となり、さらに細胞相互が横にずれて2-3層の扁平上皮のよ うになる。内腔が空の時は十数層にも重なった細胞の厚い層と なり、重層円柱状を呈する。
 ⇒ 上皮組織

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