Subject   : レギュラトリーT細胞 (Treg)

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 レギュラトリーT細胞 (Treg)
 私たちの体には、細菌やウイルスなどの外敵や体内で発生するがん細胞などから身を守るしくみとして免疫系が備わっています。この免疫系において重要な役割を担うのが免疫細胞で、侵入した外敵を排除するマクロファージやナチュラルキラー細胞(NK細胞)、外敵の排除や免疫系の司令塔など多様な働きをするT細胞、抗体を産生するB細胞などがあります。制御性T細胞(Treg)はT細胞の一種であり、免疫細胞が過剰に働きすぎるのを抑制的に制御し、アレルギー反応や炎症反応などを抑える働きを持つと考えられています。

 近年、腸内細菌や乳酸菌の中にTregの働きに影響を及ぼすものが報告されており、これらの細菌がTregを介してヒトの健康維持に大きく関与していることが推測されます。

T細胞には大きく分けて3種類あり、それぞれの役割は指令塔(ヘルパーT細胞)、殺し屋(キラー細胞又は細胞障害性T細胞)、抑え役(レギュラトリーT細胞、Treg)の三役に分けれれます。

ヘルパーT細胞とは逆に、免疫反応の抑制を行うT細胞。レギュラトリーT細胞やサプレッサーT細胞とも。

ヘルパーT細胞やキラーT細胞の働きを止めることで、体の負担を抑える働きをする。

<出典:Wikipedia>

 ■ 新型コロナウイルスで重症化した患者の血液中のレギュラトリーT細胞
 ウイルスに感染した細胞がSOS物質を放出し、免疫細胞を呼び寄せ活性化したり、マクロファージからサイトカインを放出させたりします。そのサイトカインに刺激された免疫細胞や組織細胞がさらにサイトカインを放出します。

このようにして、新型コロナウイルスの感染が引き金となり、免疫細胞や組織細胞によるサイトカインの産生が続いたのち、その共鳴を一気に増幅させる「IL-6アンプ」というスイッチが押されます。 そして、細胞間のサイトカイン放出の呼応が一気に増加し、サイトカインによる炎症はまたたく間に広がり、心肺が機能不全を起こすほどの肺炎となるのです。

新型コロナウイルスに感染し、重症化した患者の血液中からは、このレギュラトリーT細胞を含むT細胞全般が極端に減ってしまっていることがわかっています。

 ⇒ T細胞

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