Subject   : エリスロポエチン(EPO)

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 エリスロポエチン(Erythropoietin)
 エリスロポエチン(erythropoietin; EPO)とは、赤血球の産生を促進する造血因子の一つ(ホルモンともサイトカインとも)。分子量は約34000、165個のアミノ酸から構成されている。血液中のエリスロポエチン濃度は、貧血、多血症などの鑑別診断に用いられる。腎性貧血の治療に主に使用されているが、ドーピングにも使用され問題となっている。

主に腎臓の尿細管間質細胞で生成され、補助的に肝臓でも作られる。多くが腎臓で産生されていることから、慢性腎不全等の腎機能低下状態になると、エリスロポエチンの不足により腎性貧血に陥る。なお、近年までEPOの産生部位について議論があり、傍糸球体装置や近位尿細管、血管内皮細胞などが候補に挙がっていたが、遺伝子組み換えマウスの解析から尿細管間質細胞と判明した。エリスロポエチンは骨髄中の赤芽球系前駆細胞に作用し、赤血球への分化と増殖を促進することが知られている。

 エリスロポエチン(EPO)は 赤血球 の増加効果を持つことから、 筋肉への酸素供給量を高め持久力を向上させる目的で、長距離系スポーツ( 自転車ロードレース 、 クロスカントリースキー など)の ドーピング に使用されている 。

2009年 には複数の自転車競技選手からEPOが検出された 。また 2013年 1月には、 ツール・ド・フランス で7回優勝した ランス・アームストロング が オプラ・ウィンフリー とのインタビューで、かつてEPOを使ったドーピングを行なっていたことを認めた 。元来体内に存在する自然物質でその使用の判別が難しいため、ヘマトクリット(血液中に占める血球の容積率)、 ヘモグロビン 、網状赤血球数などを用いてドーピングのスクリーニングを行っている場合が多い

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